[No.198-1]せいじゅうろうを探せ!
No.198-1 [No.07-1]せいじゅうろう
「美味しそうだな」
あえて、あることに気付かない振りをしてみた。
白々しいと言えば、非常に白々しいが・・・。
「せやろ!作りもんやけど」
「・・・あ、うん・・・」
予想していた反応と違うことに、少し戸惑う。
「どないしたん?」
「いやぁ・・・その前になんだ・・・その・・・」
冗談ではなく、本当に気付いていないのだろうか。
こうもはっきり写っていれば、逆に無視することが難しい。
「せいじゅうろうは皿うどんが好きなんだ?」
「なんでなん?」
「だって、写・・・」
途中で言うのを止めた。
菜緒にからかわれているだけかもしれない。
もちろん、悪意はないことは承知している。
(一旦、話題を変えてみようか・・・)
「・・・で、菜緒は食べたんだろ?」
「なにを?」
「何を・・・って、皿うどんだよ」
答えを聞くまでもなく、“食べていない”顔をしている。
どうも、さっきから会話がしっくりこない。
でも、嘘を付いているとか、からかってるとか、とも違う気がする。
「パリパリしてたり、しっとりしてたり、美味しかったわぁ」
それを世間では“皿うどん”と言うのだが・・・。
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