[No.197-1]スケジュール帳
No.197-1
「懐かしいな・・・」
「・・・なに想い出にふけっているのよ・・・」
気付かない内に、口にしていたらしい。
同僚から言われて、現実に戻る。
「あっ!何でもない、何でも・・・」
「スケジュール帳を見て、懐かしめるなんて、どうなの?」
しっかり聞かれていたらしい。
愛用のシステム手帳を定期的にメンテナンスする。
過ぎたスケジュールは、リファイルして保存するのが習慣だ。
「以前のスケジュールを見てたのよ」
「それだけで懐かしめるの?ある意味羨ましいけど・・・」
スケジュール帳は仕事用だ。
併せて言うなら、プライベートでは手帳は使わない。
ただ、まれにスケジュール帳に私的な内容を書く時がある。
「何が書いてあるわけ?人の名前とか?」
「それは秘密・・・」
それ自体、教えた所で何も問題はない。
スケジュール帳の所々に青い文字で、あることが書かれている。
でも、その書き込みはある時を境に途絶えている。
(京橋・・・か・・・)
今度は口にしないように、意識して心の中でつぶやいた。
主に火曜日に、その文字が書かれていた。
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