[No.193-2]石ころ
No.193-2
「田んぼに石ころが落ちたんだ?」
途中で蹴り損ねて、石ころが田んぼに落ちた。
夏だと言うこともあり、田んぼは十分過ぎるほど水で潤っていた。
「拾いに行ったら・・・そうなっちゃって」
泥まみれになるつもりはなかったけど、ぬかるみに足を取られた。
「そこまでして、ルールを守らなくても・・・」
確かにそうだと思う。
誰も見ていないし、ルールの存在だって知らない。
「誰も見てないし、ルールだって・・・」
私と同じことを言った。
他人から見ればバカバカしいことを真剣にやっている。
「自分で決めたことは守りたいだけ」
「頑固と言うか・・・」
「自分でも嫌になるよ」
とにかく、こんなことが良くある。
それに仕事ではこんな性格があだになる場合が多い。
こだわりは、単にわがままとしか見られない。
「そんなことないよ」
「そんなことあるわよ」
泥だらけになった時も母に怒られただけだった。
もちろん、理由なんて話す意味がない。
「でも、石ころを見つけた瞬間が目に浮かぶわよ」
そこから見つけだしたのは、私の信念だったのかもしれない。
(No.193完)
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