[No.193-1]石ころ
No.193-1
私の性格は今に始まったことではない。
そんな時、いつも思い出すエピソードがある。
「へぇ~、初耳だね」
「そりゃそうよ!初めて他人に話すからね」
小学生の時、通学路にある田んぼで泥まみれになったことがある。
自分の意志に反してではなく、自分の意志で・・・。
「何か理由があるんだよね?」
「いくら、やんちゃな私でも、ちゃんと理由はあるわよ」
私は一度決めたら、自分を曲げずにやり通そうとする。
それがどんなにつまらないことでもだ。
その時は石ころを蹴っていた。
「石ころ?それがどうして泥まみれに変わるのよ?」
石ころを蹴る・・・蹴り続ける。
するといつの間にか、そこに自分のルールを作ってしまう。
「ルール?」
「そう、自分ルールをね」
蹴り続けなきゃいけない。
家まで石ころ蹴り続けなければ、悪いことが起こる。
「悪いこと?」
「単なる自分に科するバツみたいなものね」
別に具体的なバツを考えていたわけじゃない。
とにかく蹴り続けなければそうなる・・・と言うことだ。
「もしかして、泥まみれの原因って・・・」
「そうね、石ころはちゃんと家まで蹴って帰ったわよ」
だからこそ、泥まみれになった。
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