[No.188-2]ブルーメの丘
No.188-2
「メロンパンも作れるみたいだよ」
後日、彼女と会った時に話の続きをした。
ホームページから詳しい情報を手に入れた上でだ。
「ほんまや!知らんかった」
彼女の表情が前よりも一層輝いている。
それから、話はドンドンと膨らんでいった。
「僕の車で行こうか?」
「うん、お昼ご飯は途中で食べて行こか」
本当なら、ブルーメの丘で食事したいところだ。
けど、そうできない理由がある。
「そうだね・・・出発時間から考えると・・・そうなるね」
彼女が外出できる時間が限られている。
だからこそ、スケジュールを細かく決める。
着いたらどんなことをしようか、どこを見て回ろうか。
「アイスクリームも作るのだ!」
「賛成!」
ふたりの話は尽きることがなかった。
それからも具体的に話は進んだ・・・あるひとつのことを除いて。
「めっちゃ楽しみや!」
お互い分かっている。
いくら具体的に話が進んでも、これが実現しないことを。
だから「今度」が、ふたりの前に訪れることはない。
「マグカップの絵付け体験もふたりでせえへんか?」
人生において最も想い出に残る場所になりそうだ。
ふたりとも一度も行ったことがないのに。
(No.188完)
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