[No.186-2]花火
No.186-2
開幕後は、それぞれが好き勝手に花火を手にしている。
打ち上げ花火で派手にはしゃぎ回る者。
片や、線香花火でまったりしている男女ふたり。
(男女ふたり・・・)
「えっ!・・・そんな関係だったの?」
「知らなかったの?」
1ヶ月そこそこで、そこまで気付かない。
・・・と言うより、そんなに興味もない。
「うやらましい?」
「べ、べつにそんなんじゃないよ」
「今だけ、恋人になってあげる」
そう言うと僕の手を引っ張った。
「ちょ、ちょっと!」
多少強引な所もあるが、これが彼女なりの気遣いだ。
それからも花火大会は大いに盛り上がった。
送別会ではなく、花火が目的になっているのが何とも笑える。
「は~い!以上で花火大会閉幕ぅ~!」
浜辺は来た時と同じように、静寂に包まれた。
「じゃ、片付けるわよ」
「おっ!地球にやさしいね」
当然と言えば当然だが、メリハリのある行動に改めて感心した。
「想い出と共に、持ち帰るのよ」
その言葉にどんな意味があったのか、後日知ることになった。
(No.186完)
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