[No.184-2]怒るって難しい
No.184-2
「怒るって難しいと思う・・・そう思わない、佐知子?」
それは相手が誰であっても、どんな関係の人でも言えることだ。
ただ、恋愛関係にあれば多少、駆け引きも必要になる。
「嫌われたくないし、流されたくもない・・・か・・・」
言えば関係がギスギスする。
言わなければ関係はスカスカになる。
「本当は怒りをあらわにすべきだった」
それでも彼を許すつもりではいた。
「そうね、修羅場も悪くない」
「愛情があるからこそ、怒れる時もあるし」
「本当に怒るって難しい」
けど、いくら愛情があっても、相手に伝わらなければ同じだ。
勘違いのまま終ってしまうことだってある。
「それにルールがあると思うんだ」
怒るとは・・・ルールを無視した殴り合いではない。
厳格なルールの下で怒らなければならない。
「そう考えるとルールを破ってしまったのは私の方ね・・・」
いつしか“怒(おこ)る”ことが、“怒(いか)り”に変わった。
昔の出来事まで引っ張り出し、私は怒(いか)ってしまった。
「彼とはどうするつもり?」
「怒ってみる・・・真剣に」
まずは自分に対して怒ることから始めよう。
(No.184完)
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