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[No.181-2]雨男

No.181-2

「ねぇ、知ってた?」
「何だよ、唐突に」

急に降り出して来た雨を見て、彼と付き合うきっかけを思い出した。
目の前に居る“彼”は“あいつ”だ。

「雨男って、ウワサされてたんだよ」
「なんだ・・・そんなことか」

彼は知っていたらしい・・・雨男だと、ウワサされていたことを。

「でも、イメージは良くないよな」
「そうよ、私だって・・・」
「・・・なんだよ?」

彼が私の言葉の先を知りたがっている顔をしている。
あのウワサ話の“あいつ”は、偶然にも私の憧れている人だった。
結果的に同僚達の勘違いが、今の私達の関係を生んだ。

「私も・・・なの!」

雨男に雨女・・・お似合いのカップルだ。

「私だって雨女・・・なの」
「今、降り出したこの雨だって私のせいかもしれないし」

彼はキョトンとした顔をしたが、すぐ笑顔に変わった。

「雨女?・・・君が?」

「だって皆と飲みに行ったりしたら、雨に降られることが多いし・・・」
「よく思い出してみろよ、その時のメンバーを」

そうだった・・・そんな時は、いつも彼も居た。
彼が居たからこそ、メンバーに加わっていたことを思い出した。
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(No.181完)

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(008)小説No.176~200」カテゴリの記事

コメント

うふふっ(*゜v゜*)まったりとした雨男の雨女のハッピーエンド♪
結ばれる運命にあったふたりなのでしょうけれど
そこに偶然というスパイスが効くと
俄然 ロマンチックになってきますね

投稿: なっち♪ | 2010年7月 9日 (金) 23時52分

雨って色んな話を空から運んで
くれます。
そう考えると空には話のタネが
たくさん落ちているのかも
なっち♪さんの「星降る夜」の話
もそのタネから生れたのかな。
それと七夕のコメント・・・
"甲子園の砂のように減りません"
素敵過ぎて悔しいぃー(笑)
こちらが刺激を受けていますよ。

投稿: Re:なっち♪さんへ | 2010年7月10日 (土) 23時50分

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