[No.181-1]雨男
No.181-1
積極的にかかわれない話がある。
それについて無知だからではない。
その話の当事者だからだ。
「でさぁ・・・あいつって雨男だと思わない?」
「分かる、分かる!この前もホラ・・・そうだったもんね」
「ありさもそう思うでしょ?」
性別こそ違うが何を隠そう・・・私もソレだ。
「・・・そ、そうね・・・困った人だよね」
声が若干、上ずってしまった。
私の場合、晴れを雨に変えるほどの神通力はない。
さっきまで止んでいた雨が、また降り出す程度だ。
もちろん、私が外に出た瞬間に・・・だ。
「ほら、偶然ってこともあるじゃない?」
心の中で自分を弁護したつもりが、つい口に出てしまった。
その瞬間、一斉に視線が私に向けられた。
何とも波紋を引き起こしそうな雰囲気に変わった。
「もしかして・・・」
同僚の一人が口火を切った。
(まずい!バレたかも・・・)
「あんた、あいつのこと好きなわけ?」
「そ、そうかも!」
矛先をかえるため同僚達の勘違いに、適当に答えた。
それが思わぬ方向へと発展した。
そもそも“あいつ”が誰なのか、把握していなかった。
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