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[No.180-2]答えはひとつ

No.180-2

杓子定規ではなく、その時々で最善を尽くすこと。
その小説にも書かれていた答えだ。

「まぁ・・・間違ってない・・・よね?」
「そうだね、私もそんな気持で仕事してるから」

ところが、責任が増すにつれ、答えに疑問を感じ始めた。
自分が出した答え・・・。
果たしてそれは、本当に最善なのだろうか・・・と。

「だから、ちょっと調べようかなー、と思ったら」
「小説の方に目が行っちゃった・・・わけね」

小説の中で彼は最善の答えを出したと思う。
その瞬間にもっとも必要な答えであった。

「余り無理しない方がいいよ」
「ありがとう・・・疲れてるのかも」

最善を尽くすことは楽なことじゃない。
いくつかの可能性の中から、ひとつの答えを見つける。
それが正しいかなんて分からないのも本音だ。
全ては結果がそれを教えてくれる。

「そうなるとケースバイケースってなんだろう・・・と思う」
「そうね・・・じゃあ、私が新しい定義を作ってあげるよ」

そう言うと、意図も簡単に定義を作ってみせた。

「最も最適と思われる答えが見つからない時の最も最適な答え」
「よくわかんないけど、なんか凄そう!」
「でしょう?」

これ以来、この言葉を使わなくなった。
結果的に小説の中の彼と同じになったと言える。
逃げずに答えを出そう・・・そう心に決めた瞬間でもあった。

(No.180完)

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