[No.175-2]ポストの前で
No.175-2
「それで、どうしたのよ?」
近くの学校に事情を話して、らしき女の子を探してもらった。
でも、該当する子は居なかった。
「100%、その学校とも断言できないしね」
拾得物として警察に預けようとも考えた。
ただ、預けた所で落とし主が現れることはない。
「だから・・・どうしていいか困ってる」
「開けてみたら?」
「ちょっと!それはできないよ」
確かに中を見れば、手がかりを見つけられる可能性はある。
そうしようかと、考えなかったわけでもない。
「その子が自分で入れても相手には届かないよ」
私の手に渡ったことは幸か不幸か・・・決断した。
それから数日後、奇跡的にその手紙の落ち着き先が判明した。
手紙は入院中の友達に宛てて書かれたものだった。
運良く中に病院名が書いてあった。
どうやら例の女の子は同じ病室に居た子らしい。
「直接言えば良かったのにね」
「言えないことだってあるでしょ?」
「・・・それで、手紙に託したわけか・・・」
本当は手渡しするつもりでいたのだろう。
「それはそれで、恥ずかしかった・・・ということね」
そんなものだから、ついそのまま出してしまったようだった。
(No.175完)
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