[No.174-2]心地よい
No.174-2
「前の続きなんだけどさ」
好き嫌いの話をした時に、言い忘れたことがあった。
「カルピスは好きだよ」
マヨネーズの原理で行けば、牛乳を連想させるには十分だ。
前とは矛盾する話をあえてした。
「でも、豆乳は苦手だな」
「どうして?」
「だって、牛乳を連想させるだろ?」
もはや矛盾のレベルではない。
単なるワガママにも近いと、自分でも感じる。
「それ、分かる」
嘘の話ではないが、かなり大暴投の話をしたつもりだ。
それを見事にキャッチした。
そんなものだから、馬が合うというより、もっと違う感じを受ける。
驚きもあるが、妙にしっくりくる。
それにしっかり、自分の話もしてくれる。
それがあるから、相槌のために適当に発言したとは思えない。
「そう言えば、干しぶどうもダメだな」
「それ、分かる・・・味じゃなくて、歯ごたえでしょ?」
結衣(ゆい)の言う通り“クチュ”とする、あの食感が苦手だ。
「こんなことばかり言ってる、俺って変かな?」
「そ・れ・も、分かってるよ」
私も同じだから・・・そんな表情が何とも心地よい。
(No.174完)
| 固定リンク | 0
「(007)小説No.151~175」カテゴリの記事
- [No.175-2]ポストの前で(2010.06.16)
- [No.175-1]ポストの前で(2010.06.15)
- [No.174-2]心地よい(2010.06.13)
- [No.174-1]心地よい(2010.06.12)
- [No.173-2]イバラの道(2010.06.10)
コメント