« [No.173-1]イバラの道 | トップページ | ホタル通信 No.026 »

[No.173-2]イバラの道

No.173-2

尚子に話したのは、自分でもまだ迷っている証拠だ。
そうでなければ、もう突っ走っている。

「・・・少し向き合ってみる」

向き合うのは誰でもない・・・自分自身にだ。
彼に対する今の気持ちに、嘘はない。
ただ、そんな時こそ、冷静になる必要もある。

「そうだね、気持ち全てが嘘だってこともある」

嘘がないのではなく、全てが嘘だとしたら・・・。
私が私自身に騙されているとしたら・・・。

「ねぇ、いばらの道、進んだらどうなるのかな」
「経験がないから、分からないけど・・・」

前置きをしながらも、自分の想いを語ってくれた。
いばらの道・・・。
その道を行けば“勇者”と褒め称えられる。
けど、陰では“愚か者”と失笑をかう。

「あーあぁ・・・八方ふさがり!って感じだよ」

投げやりな気持ちではない。
行き場を失い、その場にしゃがみ込んでしまったような気分だ。

「あっ!痛い・・・」

どうやら、座り込んだ道にも、多少なりともトゲがあったようだ。
人生と言う道はどの道も少なからず、いばらの道なんだ。

(No.173完)

読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

| |

« [No.173-1]イバラの道 | トップページ | ホタル通信 No.026 »

(007)小説No.151~175」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.173-2]イバラの道:

« [No.173-1]イバラの道 | トップページ | ホタル通信 No.026 »