[No.173-2]イバラの道
No.173-2
尚子に話したのは、自分でもまだ迷っている証拠だ。
そうでなければ、もう突っ走っている。
「・・・少し向き合ってみる」
向き合うのは誰でもない・・・自分自身にだ。
彼に対する今の気持ちに、嘘はない。
ただ、そんな時こそ、冷静になる必要もある。
「そうだね、気持ち全てが嘘だってこともある」
嘘がないのではなく、全てが嘘だとしたら・・・。
私が私自身に騙されているとしたら・・・。
「ねぇ、いばらの道、進んだらどうなるのかな」
「経験がないから、分からないけど・・・」
前置きをしながらも、自分の想いを語ってくれた。
いばらの道・・・。
その道を行けば“勇者”と褒め称えられる。
けど、陰では“愚か者”と失笑をかう。
「あーあぁ・・・八方ふさがり!って感じだよ」
投げやりな気持ちではない。
行き場を失い、その場にしゃがみ込んでしまったような気分だ。
「あっ!痛い・・・」
どうやら、座り込んだ道にも、多少なりともトゲがあったようだ。
人生と言う道はどの道も少なからず、いばらの道なんだ。
(No.173完)
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