[No.173-1]イバラの道
No.173-1
目の前に一本の道が続いている。
分かれ道でもないのに、進むのをためらってしまう。
なぜなら、その道は“いばらの道”だからだ。
いばらの道・・・。
その道を行かなければ“賢者”と褒め称えられる。
けど、陰では“臆病者”と失笑をかう。
尚子に今の心の内を話した。
「どうするつもりなの?」
「わかんない・・・」
「それにしても、面倒な人を好きになったわね」
いばらの道を進めば、ただでは済まないことは承知だ。
その名の通り、体よりも心が激しく傷付く。
それに、それは私だけに留まることもないだろう。
「進んじゃいけないって、分かってるんだ」
「だったら、どうして・・・」
だからこそ・・・いばらの道なんだ。
なぜか、人はその道の前に立ってしまう。
いばらの道・・・。
その道を行けばどうなるのだろう・・・。
「本当に進む気じゃないよね?」
尚子が確認するかのように聞いてきた。
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