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[No.171-2]りゅうとりゅうた

No.171-2

たまに実家に帰っても、都合良く、りゅうやりゅうたの姿はない。
爪とぎやトイレが置いあることで間接的に存在を感じる。
そして、しばらくすれば彼らは帰ってくる。

「あれ、どこからか見てるんじゃない?」

まさしく絶妙なタイミングであることが多かった。
それから、体をスリスリしてから、また出掛けて行く。

「一応、あいさつしてるつもりなのかな」

犬と違って、我が道を行くのが彼らだ。
そんな彼らでも、多少、私のことを気遣う所が面白い。

「ほら、けんかしてた時さぁ・・・」
「そうそう!私達が顔を出すと、急に強気になるよね」
「さっきまで『負けてたくせに!』って、言いたくなる」

ある時、実家に帰ると爪とぎやトイレが無くなっていた。
それがどう言う意味か聞くまでもなかった。
知らせがなかったことは特別、気にしてはいない。
気付けば、積み上げられた石が、もうひとつ増えていた。

「それにしても、以前のままにしてるんだ・・・」

テレビと冷蔵庫の上には、何ひとつ物が置かれていない。
整理整頓が行き届いている・・・とは違う。

「彼らのお気に入りの場所だったもんね」

それを意識して、今もそうしてるのだろう。

「なんで、そう言えるのよ?」
「ほら、ここも、あそこも・・・」

戸やドアを少しだけ開ける、そのクセが抜けていないからだ。

(No.171完)

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