ホタル通信 No.026
小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.98 小さな巨人
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性
大人になって気付くこと。それはメンタルな部分だけでなく、物の存在感、存在価値・・・そんな話です。
場所は長崎県佐世保市のさらに奥地です。小さな頃に住んでいたのではなく、祖父母の家がそこにありました。
中学に上がる前までは、祖父母宅で夏休みを過ごすのが常でしたが、それを過ぎると急にふるさとが遠のきました。
そのせいもあり、私の実体験の中での鳥居はとてもスケールの大きい存在でした。
ある時、祖父母宅へ行く用事があり、そのついでもあって神社を訪れました
小説の通り、厳かな雰囲気は昔のままでした。やや、うっそうとした境内はそのせいもあり、夏だというのにヒンヤリしていました。
久しぶり目にした鳥居は、建て替えたのかと思うほど背が低く、それこそ、手を伸ばせば天辺まで手が届きそうな勢いでした。
当時はまさしく空に向かって石を投げているようでした。
投げても投げても、石は乗らない。でも、逆にそれが存在感を強くし、やがてその反動が落胆に変わりました。
話を戻せば、願い事のくだりは今となっては定かではありません。
言い伝えとして聞いた訳ではなく、気付けば石を投げていた・・・というのが真相です
小さい頃は、いくらでも願い事があったのに、石は乗らない。逆に大人になったら石を乗せることができるのに、今度は願い事が見つからない・・・切ない雰囲気で話を進めました。
ラスト付近は創作です。偶然落ちてきた石、そしてそれを手にした時、フッとあの時の光景が蘇る・・・そんなワンシーンを描いてみました。
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