[No.170-1]窓に映る私
No.170-1
「ちょっと心理テストしてみない?」
「いきなり何よ」
「ほら、今度、パーティがあるじゃない」
麻貴(まき)曰く、異業種交流パーティの作戦会議らしい。
会場のどこの席に座るかで、様々な心境が分かるという。
「ちなみに、そのテストは公式なもの?」
「ううん、麻貴プレゼンツだよ」
(話半分・・に聞いておこう)
麻貴がいくつか場所を挙げた。
カウンター、窓際、中央、そして小上がり。
「私はカウンターかな」
麻貴のカウンセリングを待たずとも、だいたい予想できる。
カウンターに座るのは、ズバリ社交的な人のはずだ。
「えー意外!」
(違う・・・の?)
「瑤子(ようこ)は男性を寄せ付けないタイプね」
「なんでよ?」
カウンター越しには店の人など、第三者が居る。
だとすれば、男性も口説きにくいはずだ。
そのことを言っているらしい。
「まぁ・・・そうね」
意外に納得できる答えだ。
「窓際も好きよ」
カウンターも好きだけど、窓際も捨てがたい。
それに、これも予想が付く。
以前、似たような心理テストを経験したことがあった。
自分に対する興味が分かる・・・そんな場所だ。
「へぇー、これまた意外!」
何が意外だと言うのか・・・答えが怖い。
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