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[No.169-2]重いな・・・

No.169-2

「相変わらず、重いな」

一瞬惑うほど、数日前と全く同じセリフを言われた。
痛めた足首がまだ完治していない。
そこにきて、目の前に急な階段が立ち塞がった。
そのために、また貴志の背中を借りることになってしまった。

「またぁ!失礼な・・・」

途中まで言いかけたけど、なぜだがその先が言えなかった。
彼がいつになく穏やかな表情だったからじゃない。
その言葉の意味に、今、ようやく気付いたからだ。

「ごめん・・・」
「何のこと?」

始めはとぼけていた貴志も、すぐに私の想いに同調してくれた。

「体はきゃしゃなんだけどな」

貴志の表情はさっきにも増して穏やかだった。
他人からすれば、チグハグな会話をしているように見える。

「支えられそう?」
「どうかな・・・結構、重いしな」

私の過去までも背負ってくれる、彼の足取りは力強い。

「そのうち軽くなるよ、ダイエットと同じ」

私は返事をせず、黙って背中に顔を埋めた。

(No.169完)

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