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[No.168-2]鉄道員

No.168-2

「鉄道員だよ」
「えー意外、ポッポやだなんて・・・」
「俺、歳いくつだっけ?」

それは今から数えれば、かなり昔のイタリアの映画になる。
当時なら、それほど昔ではなかったはずだろうが・・・。

「全然知らないけど」
「俺もどんな映画かは知らなかった」

当時、映画どころか何の曲かも知らなかった。
いくつか曲を選択できた中で、これを選んだ。

「どうしてこれを選んだの?」

佐江(さえ)が当然とも思える質問をしてきた。

「他の曲は全部、カタカナで書いてあったので・・・」
「カタカナ・・・?元は英語ってことね」

さすが佐江だ、理解が早い。

「唯一、何となく意味が通じるから」

けど、実際聞いてみると思いのほか、寂しげな曲だった。
曲を聴くまでは、友人達と替え歌を作ってふざけていた。
そのギャップに何か後ろめたいものまで感じた。

「プレゼントしたオルゴール開けてみて」
「・・・嘘だろ?この話、初めてしたと思うけど」

包みから取り出しオルゴールのフタを開けた。

「・・・音がしない・・・けど・・・」
「曲は今から探しに行くわよ」

随分、久しぶりに聴くことになった。
大人になって聴くこの曲を、ようやく理解できる歳にもなった。

(No.168完)

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