[No.167-2]らせん
No.167-2
「びっ、びっくりしたでしょ!全くもぉ・・・」
一瞬でも麻由(まゆ)の世界に引き込まれた感じだ。
「私を別世界に連れて行ってどうするのよ!」
「ホント?」
どうにも楽しそうな雰囲気がシャクに障る。
(心配して損した・・・)
ちょっと前のアンニュイな麻由の面影はない。
それこそ、別世界から来ていたようだ。
「もー、何なのよ!」
真面目な話なのか、不真面目な話なのか混乱している。
「でも、らせん状は本当」
「・・・じゃなくて、そんなイメージだよ」
麻由が今度は寂しげな顔をした。
「・・・もう、その手には引っか・・・から・・・な・・・」
さっきのように威勢良く反論出来なかった。
そんな雰囲気を感じたからだ。
「ふたつの世界がらせん状になっててね」
「だから、時々交わり、出逢うのね」
けど、らせんはすぐに離れて行くのも確かだ。
「まぁ、またいつか出逢えるよ」
「らせん状・・・だもんね」
そう思える出逢いや別れが、誰でもあるはずだ。
(No.167完)
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