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[No.166-1]退屈な時間

No.166-1 [No.07-1]せいじゅうろう

「へぇー、沢山集めたな」

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色々な着ぐるみのリラックマが並んでいる。
いわゆるご当地物のストラップだ。

「むっちゃ、集めてん」

数えるのに、少しためらいを覚え始める量だ。
物を集めることに関しては、男女関係ないようだ。

「これは長崎で買ってもろたやつ」

今更「誰に?」とは聞かない。
菜緒を取り巻く複雑な人間関係は承知している。

「これ、一番のお気に入りやねん」
「これなぁ・・・」

菜緒が買った時の話を始めた。
この手の話は聞く方に、苦痛にも似た退屈な時間が流れる。
その場に居なければうなづけない話が多いからだ。
でも、菜緒と居る場合は違う。

「今度、俺も札幌に戻ったら探してみる」
「ほんまに?」
「仲間が増えるんよ!良かったですなぁ」

その言葉は俺ではなく、並んだせいじゅうろう達に向けられた。
こうやって純粋に喜び、そして話してくれる。

「良かったですなぁ」

ひとつひとつ手に取り、話しかけている。
他人には理解し難い時間が過ぎて行く。
けど、俺にとってはこの上なく大切な時間なんだ。

(No.166-2へ続く)

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