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[No.164-2]追い越す私

No.164-2

「ねぇ、どうするの・・・これから?」

修羅場こそないが、ドラマのワンシーンのようでもある。
すれ違いの原因は分からない。
ドラマなら、回想シーンのひとつでもあれば事足りる。
改めて、今が現実だと知った。

「俺、もう帰るな」
「待ってよ・・・」

自分の言葉に力がないことは分かっている。
その証拠に、もう彼は目の前には居ない。
(・・・追いかけなきゃ・・・)
まさしく、ドラマと同じシーンが展開された。
去って行く彼・・・そして追いかける私・・・。

「遅かった・・・」

いつもの駅に彼の姿はなかった。

「バーカ!早いんだよ」

背中越しに彼の声がした。
いつの間にか彼を追い越していたようだ。

「いつも先に行くよな」
「じゃ、歩調を合わせてよ」
「まぁ・・・仕方ないか」

ドラマなら最終回でも、私達にとっては始まりとなった。

(No.164完)

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