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[No.164-1]追い越す私

No.164-1

稀にドラマと同じようなシーンに遭遇する。
有りそうで無さそうな、そんなシーンに・・・。

『お客様の中にお医者様は・・・・』

もはや定番とも言えるシーンがテレビの中で展開されている。
そして、必ず医者が居る。

「そりゃ、ドラマだからだろ?」

一也(かずや)が、当然だと言うような口調で答えた。

「本当にそんなことあるのかな?」
「意外にあるらしいぞ」

数百名の乗客からすれば、居てもおかしくはない。

「まぁ、一人ぐらいなら・・・ね」
「ほとんど医者だっだこともあったみたいだな」

一也が言うには、何らかの医者の集まりがあったらしい。

「その人、ラッキーだよね!」
「逆だよ!機内で調子悪くなるんだから、アンラッキーだよ」

この頃からだった。

一也との関係がギクシャクし始めた。
そして、お互い意識して距離を保つようになった。

(No.164-2へ続く)

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