[No.160-1]空と私
No.160-1
「空は青いのに、私の心は曇り空・・・」
「・・・誰の歌?」
独り言のつもりだった。
でも、本当は聞いて欲しかったのかもしれない。
「ほら、歌詞に出てきそうじゃない?」
確かにそんな感じだ。
心の状態は天気や季節とかに例えられやすい。
「雨空じゃないだけ、ましってこと?」
「そうね、そんなとこかな」
青々とした空は爽快感がある。
けど、私はそれが嫌いだ。
「強い日差しほど“かげ”が濃くなる」
ぶっきら棒にその理由を話した。
「いろんな意味に取れるよね?」
「多分、その方がいい」
本音は隠したい、でも本音で話したい。
だから、あえて抽象的な表現をした。
青々とした空が、憎らしい時さえある。
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