[No.159-2]幸せを引寄せて
No.159-2
(・・・あっ!この感じ・・・)
経験したことがある、違和感を感じた。
由宇(ゆう)と、桜を見に来た。
有名な場所だけに、半端ではない混雑ぶりだ。
はぐれないように、慌てて由宇の腕を掴んだ瞬間だった。
(・・・とにかく混雑から抜け出さないと)
今、腕を離せる状況ではない。
違和感を感じつつも、そのまま人波に体を預け、何とか脱出した。
「噂通りの場所ね」
「思った以上だよ・・・それで話は変わるんだけど」
「違和感あったんでしょ?」
「・・・なんで分かったんだよ?」
「私も感じたの・・・」
右手で由宇の左手をつかんだ。
由宇にしてみれば、左手で僕の右手をつかんだことになる。
「じゃぁ、反対にしてみようか」
ちょっとした実験コーナーになったようだ。
改めて、左手で由宇の右手をつかんでみた。
「あれ?しっくりこないよぉ」
「そう?これなら、どうだ」
両手で由宇を引き寄せみた。
どうやら両手を使わないといけない時もあるようだ。
(No.159完)
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