[No.158-2]白いネコ
No.158-2
「沙織って、ネコ派だった?」
ランチの時、朝の出逢いを友人に話した。
「違うんだけど、なんて言うか・・・」
「は・はぁ~ん」
友人の目が怪しく・・・いや妖しく光る。
「それ、母性ね」
「それに、重ねたでしょ?」
「重ねた?」
世の中にはダメ男に惹かれる女性も多い。
友人はダメ男と汚れたネコを重ね合わせたと思っている。
「初恋の人がね・・・そんな感じだったの」
「ダメ男ってこと?」
「そっちじゃない!」
小学生だった頃、好きになった男の子がいた。
毎日、泥だらけになりながら遊んでいる姿を見ていた。
「見ていた・・・ねぇ・・・ご苦労様」
「なにさぁ・・・」
言葉は悪いけど、薄汚れた感じにちょっと惹かれた。
「重ねたのは、その男の子よ」
「母性と言われればそうかもしれないけど」
卒業を期に離れ離れになり、彼のその後は分からない。
「そのネコ、彼だったりして・・・なんてね!」
朝、私の呼び掛けにそのネコが応えてくれた。
人に慣れていないような、ぎこちない動きだった。
あの日の彼も・・・そうだった。
(No.158完)
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