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[No.158-1]白いネコ

No.158-1

(えっ・・・)

自転車の前を、白い物体が勢い良く通り過ぎた。
突然の出来事に通り過ぎてから、ようやく止まることができた。

(な、なんだったのよ・・・・)

衝突こそ避けられたようだが、振返り確認してみた。

「ちょっと・・・なに涼しい顔してんのよ!」

思わず大きな独り言を言ってしまった。
私の心臓は張り裂けんばかりに、ドキドキしている。
なのに、そいつと来たら・・・。

「ニャァー」
「・・・プっ!」

思わず笑ってしまった。
まるで何も無かったかのような、鳴き声だったからだ。
こっちが真剣だった分、拍子抜けが逆に笑える。

(場の空気を読んでよね・・・って無理か)

人間じゃない・・・と言う理由もあるが、なんせ気ままな動物だ。
相手がネコなら仕方ない。

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その白いネコが毛づくろいを始めた。
正確に言えば全体的に薄汚れて、やや黒ずんだ色をしている。
首輪も無いし、どうやら野良のようだ。

(それに・・・)

鼻の下も汚れている。
汚れた指で鼻の下を擦ったような跡が、ひげのように見える。

「おいで!」

相手は野良なのに、つい呼んでしまった。
野良のたくましさと言うか、ちょっとした哀愁を感じたからだ。

(No.158-2へ続く)

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