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[No.157-2]いつものアレ

No.157-2

「いつものアレ?」

遥(はるか)に、ことの真相を話した。

「自分では気付いてないだろう?」
「言われてみれば、確かにそうね・・・」

驚くでも怒るでもないけど、何となく歯切れが悪い。
でも、認めたくない・・・そんな様子ではなさそうだ。

「いやに冷静だな」
「まぁね、全く気付いてなくもなかったし」

遥もまた、ことの真相を話してくれた。

「心・・・気持ち・・・を結び直すってこと?」
「そう!気持ちを引き締めたくて」
「それで、その代わりに?」
「何か、こう・・・形のあるものを、キュと締め直したくなるの」

(それで靴ひも・・・と、言うわけか)

「それなら、あの時はどうしてだよ?」

ずっと気になっていたことを話した。
あの日、結婚を前提に付き合っている遥を初めて親に紹介した。

「靴ひも、結び直さなかっただろ・・・」
「バカね、スニーカー履いて行けないでしょ?」
「その代わりに、コートのベルト締め直したのよ」

その言葉を聞いて、僕の心も引き締まる気分だった。

(No.157完)

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