[No.156-2]季節限定商品
No.156-2
「着いたわよ」
茜(あかね)とある場所へ向かった 。
初めて訪れた場所だが、知った場所だった。
「これって・・・メールもらった桜だよな?」
枝の形が特徴的で、印象に残っている。
それより気になるのは、茜が何も買い物をしていないことだ。
・・・と言うことは、この場所で何か売っていることになる。
「限定商品って、屋台で売ってるとか?」
周辺には祭りで定番の屋台が並んでいる。
「違うよ」
「なら、買ってきたの?」
「それなら、わざわざここに来る必要はないでしょ?」
その通りだ。
だが、屋台以外に商売をしている雰囲気はない。
(まさか、手売りしにくる・・・とか?)
「あ・・・そろそろ来るわよ」
その時、だった。
強めの風が僕たちの間をすり抜けた。
「ほら、桜の花びら・・・今、だけよ」
なるほど、桜入りの風か・・・季節限定・・・上手いこと言う。
(No.156完)
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