[No.153-2]その先にあるもの
No.153-2
「こうして明るい内に飲みに行けることで感じるのよ」
その先の答えを話した。
「なぁーんだぁ、期待したじゃない!」
「でも、感動したでしょ?」
「おごってくれたら、するかもしれないよ」
夏帆(かほ)は気付いてるだろうか・・・。
私は嘘を付いている。
「さぁ、行くわよ!」
いつもの居酒屋へ向かった。
「ねぇ、さっきの話・・・私じゃ、ないでしょ?」
「・・・気付いてたんだ」
「嘘付く時、目をそらすクセ・・・知ってた?」
話の筋は、嘘じゃない。
ただ、その感覚を言葉で伝えるのは難しい。
暮れかかる空は、夕方とも夜とも言えない時間を演出してくれる。
その空の下、はしゃぐ私が居た。
『どこ行く?何しようか?』
何も決めず、ただブラブラしてるだけだって良かった。
「その先の先に答えがあったんだね」
「分かりにくくてごめん」
「そんなことない、さっき体験したから」
(No.153完)
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