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2010年4月

ホタル通信 No.020

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.109 恋人検定
実話度:☆☆☆☆☆(0%)

「○○検定」って流行っていますよね。ご当地ものやマニアックなものまで・・・それをヒントにしています。

冬のホタルでは、男女の会話で話が展開することも多く、ならば恋人関係のふたりなら、きっと話を面白い方向へ進めてくれることを願い、妄想状態に入りました。この時点では、いわゆるオチに相当する結末は考えていませんでした。

いつもの通り、ありそうでないような話で会話を進めて行った所、検定だけに自然に不合格のアイデアを思い付きました。
何らかの罰ゲームにするか否かは考えてなかったものの、恋人同士であるふたりに関係する何かにしようとは頭のスミにありました。
樹里(じゅり)は、最初から不合格になるように仕組んでいます。
それを理由に逆プロポーズするわけですから、計算高い女性と言えそうですが、作者としてはその逆を想定しています。
つまり、不合格を利用し勇気を出してプロポーズしたのだと・・・。
全く記憶にないことは書けずに空白のまま・・・そして小説の通りこれらの空白は、ふたりで埋めて行くことになります。恋人検定の冊子は、あたかも未来日記だったのかもしれません。
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[No.161-2]生命の足音

No.161-2

「信じてほしくて話したんじゃない」

由布子(ゆうこ)が、搾り出すような声でしゃべった。

「聞いてほしかっただけ」

そう言えば、虫の知らせは親しい間柄に起きるとも言われる。
だからこそ、聞いてほしかったのかもしれない。

「ごめん・・・そんなつもりじゃ・・・」
「分かってるの、自分でも」

俺も全く信じないわけじゃない。
逆に、本当はそうあってほしいと願っている。

「もし、もしだよ・・・」

万一、自分に何かあったら・・・そんなことを由布子に話した。

「縁起でもない!・・・でも、ありがとう」
「知らせに来るよ、必ず」

それこそ縁起でもないが、自分で実行してみれば分かる。
冗談ような話だが、案外、本気だ。

「でも、どうやって知らせてくれるの?」
「そうだな・・・やっぱり、音かな」
「そうね・・・」

ふたりで、悩む姿が笑える。

「あなたドジだから、何かにつまずた音がするんじゃない?」
「そうだな・・・由布子の部屋、散らかってるしな」

今度は、ふたりして本当に笑った。
生命の途切れた音・・・そうじゃないかもしれない。
新たな絆が繋がる、その瞬間の音が聞こえるんだ。

(No.161完)

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[No.161-1]生命の足音

No.161-1

「ねぇ、虫の知らせって信じる?」
「・・・」

神妙な顔つきに、即答を避けようとする意識が働いた。
この手の話題は夏が相場だ。

「・・・け・い・け・ん、したとか・・・?」

恐る恐る聞き返してみる。
単にテレビや雑誌の話題かもしれない。
けど、由布子(ゆうこ)の雰囲気から、そう聞き返してしまった。

「うん、音が聞こえたの・・・」
「音・・・?」

確かに、家の中で何か物音がしたとか良く聞く。

「あっ!実際の音じゃなくて」

慌てて、由布子が否定した。
何か具体的なものはないけど、その瞬間が分かったと言う。

「それを音に例えてみたの」

「なるほど」・・・本来はこう答えてあげたい。
ただ、それ以前に“経験した”と言う事実・・・。
それを、どう受け止めたら良いのだろうか。
それにもう一つ、亡くなった相手が誰かと言うことだ。

「告別と言うか・・・」
「生命の途切れた音って、言えばいいのかな?」

由布子が話を続ける。
もはや、それが存在することを前提で話をしているのが分かる。

「俺は信じないな」

短い言葉だったが、会話を終らせるには充分だった。

(No.161-2へ続く)

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[No.160-2]空と私

No.160-2

「でも、これからそんな季節よ?」
「そうね・・・」

言う通り、これから青空が眩しくなる季節だ。
人も街も活気付く。

「・・・もぉ・・・クールと言うか・・・相変わらずね」
「知ってるでしょ?私の性格」

こんな私に付き合ってくれる友人には感謝している。

「ねぇ、星って暗くならないと見えないじゃない?」
「何よ、急に」

何かを伝えようとしていることは分かっている。
それを素直に聞けないだけだ。

「“かげ”だってそう・・・その時にしか見えないものがある」
「そうなのかな」
「ほら、今だって!」

友人が私の影を指差した。
私の影・・・左胸の辺りがキラキラ光っていた。

「あっ・・・これ・・・なの?」

胸に付けているハートのブローチが光っていた。

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(No.160完)

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[No.160-1]空と私

No.160-1

「空は青いのに、私の心は曇り空・・・」
「・・・誰の歌?」

独り言のつもりだった。
でも、本当は聞いて欲しかったのかもしれない。

「ほら、歌詞に出てきそうじゃない?」

確かにそんな感じだ。
心の状態は天気や季節とかに例えられやすい。

「雨空じゃないだけ、ましってこと?」
「そうね、そんなとこかな」

青々とした空は爽快感がある。
けど、私はそれが嫌いだ。

「強い日差しほど“かげ”が濃くなる」

ぶっきら棒にその理由を話した。

「いろんな意味に取れるよね?」
「多分、その方がいい」

本音は隠したい、でも本音で話したい。
だから、あえて抽象的な表現をした。
青々とした空が、憎らしい時さえある。

(No.160-2へ続く)

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ホタル通信 No.019

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.82 あの日のメダル
実話度:★★★★☆(80%)

今まで皆に与えられていた椅子が大人になるにつれ、少しづつ少なくなって行く・・・そんな話です。小説では微妙に話をズラしている部分もありますので、比較してみてください。

時は小学5年生で、球技はあえて伏せておきます。
大会の後に、食事会と言えば良いのでしょうか・・・子供向けにジュースとかが振舞われました。
その席上・・・正しくは解散直後に、小説のような感じで呼び出され、受け取っている姿を目撃しました。思えばバット・タイミングと言いますか、子供心に傷付いたことを今でも覚えています。
そりゃ、小説にするぐらいですからねぇ

その当時の心境もよく覚えてて、悔しいとか腹が立つとかではなく、小説のように「恥ずかしい」「その場から、消えたい」と言う気持ちが残りました。
ただ、このまま話を終らせてしまうと、単なる私の不幸自慢になってしまうため、最後の10行あたりからは回想から一気に現在へと話を戻しました。ここから以降は全て創作です。
社会に出るとそんなことは日常だった・・・あの時の経験が私を強くしてくれた・・・メダルは貰えなかったけれど、その代わりに「生きる力」を貰ったと、結びました。

最後に後日談を書いておきます。
6年生になった時、優勝したかどうかは覚えていないのですが、メダルを貰うことができました。
「勝ち取った!」と言う優越感より、もしかしたら・・・貰えない子が居るんじゃないか、と・・・そのメダルの重みを感じたのも事実です。

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[No.159-2]幸せを引寄せて

No.159-2

(・・・あっ!この感じ・・・)

経験したことがある、違和感を感じた。

由宇(ゆう)と、桜を見に来た。
有名な場所だけに、半端ではない混雑ぶりだ。
はぐれないように、慌てて由宇の腕を掴んだ瞬間だった。

(・・・とにかく混雑から抜け出さないと)

今、腕を離せる状況ではない。
違和感を感じつつも、そのまま人波に体を預け、何とか脱出した。

「噂通りの場所ね」
「思った以上だよ・・・それで話は変わるんだけど」
「違和感あったんでしょ?」
「・・・なんで分かったんだよ?」
「私も感じたの・・・」

右手で由宇の左手をつかんだ。
由宇にしてみれば、左手で僕の右手をつかんだことになる。

「じゃぁ、反対にしてみようか」

ちょっとした実験コーナーになったようだ。
改めて、左手で由宇の右手をつかんでみた。

「あれ?しっくりこないよぉ」
「そう?これなら、どうだ」

両手で由宇を引き寄せみた。
どうやら両手を使わないといけない時もあるようだ。

(No.159完)

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[No.159-1]幸せを引寄せて

No.159-1

「さっきから、なにモゴモゴして・・・」
「・・・どうも、しっくりこなくて」

何気なく右手で荷物を持ってみた。

「右利きでしょ?」
「そうなんだけど、荷物は左手で持つんだ」

そう考えると不思議だ。
傘を差している時も、左手でそれを持っている。
右手で持つと、やはり違和感を感じていた。

「由宇(ゆう)も、あるだろ?」
「わたし?そうね・・・考えとく」
「その前に、とりあえず左手で持てば?」

由宇の言う通り、いつも通り左手で持ってみる。
やはり、しっくりくる。

「へんな人ねぇ・・・最初からそうすればいいじゃん」
「おいおい、それはないだろ?」

左手だけでは持ちきれないほどの荷物がある。
それは全て由宇が買ったものだ。

「男なんだから、泣き言いわないのぉ!」
「どんな、論理だよ・・・全く」

それにしても・・・他にはどんな時に違和感を感じるのだろう。
今は思い付かないけど・・・。

(No.159-2へ続く)

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[No.158-2]白いネコ

No.158-2

「沙織って、ネコ派だった?」

ランチの時、朝の出逢いを友人に話した。

「違うんだけど、なんて言うか・・・」
「は・はぁ~ん」

友人の目が怪しく・・・いや妖しく光る。

「それ、母性ね」
「それに、重ねたでしょ?」
「重ねた?」

世の中にはダメ男に惹かれる女性も多い。
友人はダメ男と汚れたネコを重ね合わせたと思っている。

「初恋の人がね・・・そんな感じだったの」
「ダメ男ってこと?」
「そっちじゃない!」

小学生だった頃、好きになった男の子がいた。
毎日、泥だらけになりながら遊んでいる姿を見ていた。

「見ていた・・・ねぇ・・・ご苦労様」
「なにさぁ・・・」

言葉は悪いけど、薄汚れた感じにちょっと惹かれた。

「重ねたのは、その男の子よ」
「母性と言われればそうかもしれないけど」

卒業を期に離れ離れになり、彼のその後は分からない。

「そのネコ、彼だったりして・・・なんてね!」

朝、私の呼び掛けにそのネコが応えてくれた。
人に慣れていないような、ぎこちない動きだった。
あの日の彼も・・・そうだった。

(No.158完)

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[No.158-1]白いネコ

No.158-1

(えっ・・・)

自転車の前を、白い物体が勢い良く通り過ぎた。
突然の出来事に通り過ぎてから、ようやく止まることができた。

(な、なんだったのよ・・・・)

衝突こそ避けられたようだが、振返り確認してみた。

「ちょっと・・・なに涼しい顔してんのよ!」

思わず大きな独り言を言ってしまった。
私の心臓は張り裂けんばかりに、ドキドキしている。
なのに、そいつと来たら・・・。

「ニャァー」
「・・・プっ!」

思わず笑ってしまった。
まるで何も無かったかのような、鳴き声だったからだ。
こっちが真剣だった分、拍子抜けが逆に笑える。

(場の空気を読んでよね・・・って無理か)

人間じゃない・・・と言う理由もあるが、なんせ気ままな動物だ。
相手がネコなら仕方ない。

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その白いネコが毛づくろいを始めた。
正確に言えば全体的に薄汚れて、やや黒ずんだ色をしている。
首輪も無いし、どうやら野良のようだ。

(それに・・・)

鼻の下も汚れている。
汚れた指で鼻の下を擦ったような跡が、ひげのように見える。

「おいで!」

相手は野良なのに、つい呼んでしまった。
野良のたくましさと言うか、ちょっとした哀愁を感じたからだ。

(No.158-2へ続く)

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ホタル通信 No.018

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.113 かわいい勘違い
実話度:★★★★★(100%)

登場する男女の関係は事実と相違がありますが、それ以外はほぼ実話です。従って、いつもの通り、牽引役目線で話を進めますね。

ちょっとした病気で入院することになり、その時の医者とのやり取りがまるでコントのようになってしまいました。
妙な緊張感で頭の中が真っ白と、までは行きませんでしたが、それに近いものはありました。初めての入院だったこともあり、まぁ、こんなものでしょう。
それに引き換え藍の積極性と言うか、女性はこんな時、頼りになりますよね。

・・・で、ダメな食べ物が乳製品。
北海道に住んでいたことがあるので必ずこの手の話題になると「えー北海道なのに?」と言われます。
とにかく・・・短い入院生活とは言え、食事は大切と言うか必死と言うか・・・嫌いなものは避けたい一心でした。
本当に乳製品がダメで、匂いだけでも気が滅入ってしまうほどです。牛乳は小学校の給食以来、口にしていません。

この話は、話の筋も会話の内容、展開もリアルに再現できています。創作と比べると、かなりズルい感じですよね。
余りにも結末がコント的でもあり、逆に創作と思われそうな話に仕上がりました。でも、冬のホタル的に、ちょっと物足りなさも感じています。

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[No.157-2]いつものアレ

No.157-2

「いつものアレ?」

遥(はるか)に、ことの真相を話した。

「自分では気付いてないだろう?」
「言われてみれば、確かにそうね・・・」

驚くでも怒るでもないけど、何となく歯切れが悪い。
でも、認めたくない・・・そんな様子ではなさそうだ。

「いやに冷静だな」
「まぁね、全く気付いてなくもなかったし」

遥もまた、ことの真相を話してくれた。

「心・・・気持ち・・・を結び直すってこと?」
「そう!気持ちを引き締めたくて」
「それで、その代わりに?」
「何か、こう・・・形のあるものを、キュと締め直したくなるの」

(それで靴ひも・・・と、言うわけか)

「それなら、あの時はどうしてだよ?」

ずっと気になっていたことを話した。
あの日、結婚を前提に付き合っている遥を初めて親に紹介した。

「靴ひも、結び直さなかっただろ・・・」
「バカね、スニーカー履いて行けないでしょ?」
「その代わりに、コートのベルト締め直したのよ」

その言葉を聞いて、僕の心も引き締まる気分だった。

(No.157完)

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[No.157-1]いつものアレ

No.157-1

「ごめん、ちょっと待って」

遥(はるか)が、急にしゃがみこんだ。

(・・・いつものアレか)

他人が見れば、体の不調のように見えてしまう。
けど、そうじゃないことはすぐに分かる。

「靴ひもか?」
「うん、結び直すから」

結び直す・・・その言葉通り、結び直すのに他ならない。
ただ、彼女にとっては違う意味も含まれている。
多分、自分では気付いていないと思うが・・・。

「映画見るだけなのに、随分気合入ってるな?」
「気合・・・?なんのこと?」

やはり、気付いてないらしい。
彼女は気合を入れる時、直前に靴ひもを結び直すクセがある。
その対象は、大から小まで様々だ。

「・・・いや、そんな気がしただけ」
「変なこと言う人ね」

3Dで話題の超大作の映画だ。
それだけ、楽しみにしているって、ことだろうか。

そうなると・・・。
あの時、結び直さなかったのが、また気になり始めた。
いい機会だ・・・話してしまおう。

(No.157-2へ続く)

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[No.156-2]季節限定商品

No.156-2

「着いたわよ」

茜(あかね)とある場所へ向かった 。
初めて訪れた場所だが、知った場所だった。

「これって・・・メールもらった桜だよな?」

枝の形が特徴的で、印象に残っている。
それより気になるのは、茜が何も買い物をしていないことだ。
・・・と言うことは、この場所で何か売っていることになる。

「限定商品って、屋台で売ってるとか?」

周辺には祭りで定番の屋台が並んでいる。

「違うよ」
「なら、買ってきたの?」
「それなら、わざわざここに来る必要はないでしょ?」

その通りだ。
だが、屋台以外に商売をしている雰囲気はない。

(まさか、手売りしにくる・・・とか?)

「あ・・・そろそろ来るわよ」

その時、だった。
強めの風が僕たちの間をすり抜けた。

「ほら、桜の花びら・・・今、だけよ」

なるほど、桜入りの風か・・・季節限定・・・上手いこと言う。

(No.156完)

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[No.156-1]季節限定商品

No.156-1

「季節限定商品って、なんだよ?」

茜(あかね)から、写メが届いた。
季節限定・・・書かれた件名に、写真が一枚添付されている。

(これ、桜・・・だよな?)

断言できないものの、多分そうだ。
なぜなら、それ以外の下で宴会することは、まれだからだ。
写真には、宴会風景まで写っていた。

「・・・で、限定商品って、桜のことか?」

もしかしたら、宴会の中に商品が写っているのかもしれない。
季節限定のスイーツとか飲料水とか・・・。
特に春なら、そのような商品が発売されやすい。

(でも・・・判別なんか無理だよ)

確かに飲み食いが行われている。
ただ、何を食べて何を飲んでいるかさえ、判断できやしない。

「素直に桜のことかな?」

桜の写真を洒落て紹介しただけかもしれない。
それに、急がずとも、来週その謎が解ける。

『来週くらいなら、まだ間に合うよ』

どうやら、その商品の発売期間は来週くらいまでらしい。

『分かった』

あえて何であるか聞かず、あっさりしたメールを返した。

(No.156-2へ続く)

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ホタル通信 No.017

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.123 チャーミング
実話度:★★☆☆☆(40%)

タイトルと内容にマークが付く、分かりにくい話のひとつです。
では、その真相に迫ってみますね。

この話はチャーミングと言う言葉が主役です。この言葉、意外に直訳とは違う使い方がされていると感じています。
一方では小説に書いた通り、表現しにくい性格や行動を言い表すことができる不思議な言葉だとも感じています。そんな時、フッとあることを思い出しました。

小さい頃、実家の近くに小さな町工場があって、いつも何とも言えない匂いが漂っていました。
そんなある日・・・友達が言いました「プラスティックにソースを掛けて焼いた匂いがするね」と・・・もちろん試したこともなく、完全にイメージだけの匂いでした。でも、そのフィット感に「そんな感じだね」と同意したことを覚えています。
チャーミングが工場の匂いに変わった真相は、こんな感じです。
時に言葉は、言い表すことが難しいものを的確に表現することができます。これって、一種の発明なのかもしれませんね。

かつての町工場は今は無く、パチンコ店に変わっています。
景観を意識してか独特のネオンもなく、完全防音で音も聞こえません。それはそれで良いのかもしれませんが、何となく寂しいような気もします。町工場は匂いの他に、音に溢れ、そして温かさえ感じさせてくれました。

時代を超えて、ふたつの想いが巡り合ったようでもあり懐かしさと共に、一気に書き上げました。
最後にもうひとつ。
主役のチャーミングと言う言葉・・・似合う人が居たからこそ、書き始め、そしてフッと思い出したのです

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[No.155-2]思い付きな名前

No.155-2

「そうなんだ・・・」

何となく、訳ありのような気もする。
即答されたことを、逆に答えを用意してあったように感じてしまう。

「別に好きだった人の名前じゃないし」
(・・・だった、かぁ)
「現在、す・き・なぁぁ、人でもないよ」

さっきからバレバレのようだ。
よほど俺は顔に出るタイプらしい。
とにかく、現在進行形で好きな人が居るわけでもないようだ。

「そや!写真あるで」

そう言えば、実物を一度見た限り、その後見ていない。

「ほい!これがケロ祐一ですな」

微妙に日本語がおかしいけど気にしない。

「あれ・・・?これ・・・」

ケロ祐一が布団で寝ている。
これはこれで突っ込む所だが、それよりも・・・。

「これって、俺のお土産?」
「うん、以前もらったロイズのポテチチョコやで」

それを差し出す菜緒の左手も写っていた。

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「いっしょに?」
「ひとりで食べてもつまらへんし」

“祐一”は本当に思い付きらしい・・・そんな気がした。

(No.155完)

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[No.155-1]思い付きな名前

No.155-1 [No.07-1]せいじゅうろう

せいじゅうろうの登場で、影が薄くなったキャラが居る。

「なぁ、ご隠居はどうしてる?」
「せいじゅうろうが来てから、最近、見かけないけど・・・」
「“ケロゆういち”ならいつも寝てはるけど」
「そうなんだ・・・ん?」

(ケロゆういち・・・?)

「・・・名前、あったんだ・・・」

いつもご隠居としか、聞かされていなかった。
それに、ご隠居なのに、妙に若々しい名前が付けられている。

「そやで、言うてへんかった?」

それにしても相変わらず、ユニークな名前を付ける。
カエルらしいネーミングだ。
ただ、名前の後半が気にならなくもない。

「ゆういち・・・ってどんな漢字なの?」
「“しめすへん”に右で、漢数字の“イチ”やで」

(しめすへんに右・・・祐一か・・・)

“ゆういち”の漢字ならいくらでもある。
なぜ、ピンポイントに“祐一”なのか、ますます気になる。
確か、せいじゅうろうはアニメのキャラから取ったと聞いた。

「なぁ、ケロ祐・・・・」
「意味ないねん!思い付きやで」

俺の顔にそう書いてあったのだろうか。
言い終える前に、菜緒に即答された。

(No.155-2へ続く)

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[No.154-2]涙は女の武器

No.154-2

(智久はどこいったんだよ!)

そっちがそうなら、こっちも仲間を呼ぶまでだ。

「ちょ、ちょっと待て・・・智久はどこ行ったんだよ?」
「え!・・・あいつ・・・?」

“ふいをつく”が成功した。

「逆ナンされて舞い上がってたわよ」

(誘惑の森で幻覚を見ているらしい・・・)

どうやら仲間を呼べる状況ではない。
ただ、早く何とかしないと、HPはそう長くはもたない。

(仕方ない・・・)

残りのHPと引き換えに、大技を繰り出すしか勝ち目がない。
僕は召喚獣“おごる”を召喚した。

「もう分かったから・・・何でもおごるからさぁ!」
「何でも・・・?」

彼女たちの“喜ぶ”のゲージが上がって行くのが分かる。

「じゃあ、ねぇ・・・・」

その後、僕の宝箱が空になるまで、ゴールドを使わされた。

「女性の涙は、ほんと怖い武器だよな」
「そうかな?男性がそう思ってるだけよ、ねぇ、さゆり?」

さゆり曰く、涙は武器ではないと言う。
女性だけに備わった、あらゆるものを防御する防具らしい。

(No.154完)

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[No.154-1]涙は女の武器

No.154-1

涙は女の武器だ。

それは全てを一刀両断するような鋭利な刃物ではない。
自分的には、魔法のイメージを持っている。

「・・・だから、もう泣くなよ」

戦闘フィールドが街中だと、無条件に僕の防御力が低下する。
加えて僕の“体裁”に、クリティカルヒットする。

「悪かった、謝る!だから・・・ね」

自分のHPが、どんどん減っていくのが分かる。

「・・・ど、どうすりゃいいんだよ・・・」

その魔法攻撃は高確率で“混乱させる”を発動させる。

僕を含めて男2人、女2人でテーマパークに遊びに来た。
皆、仲の良い友人の関係だ。
それが、どう間違ったか、こんな結果になった。

「さゆり・・・何があったの・・・?」

紘子(ひろこ)が、アイスを両手に帰って来た。
(まずい!・・・仲間が加わった)

「ちょっとぉ!どういうことよぉ!!」
「い、いやや・・・だからぁ・・・そ、その・・・」

それからも紘子の“口撃”が続いた。
これも魔法攻撃だ。
(名付けてサウンドブラスター!・・・って場合じゃない!)

涙と言葉の連携魔法を喰らい、僕のHPは急激に減って行った。

(No.154-2へ続く)

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ホタル通信 No.016

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.86 始まりはただの人
実話度:★☆☆☆☆(20%)

登場する二人の人物、そして、その会話はほぼ創作になります。
実話度20%の根拠については、この先を読んでくださいね

この小説だけでなく、「出逢い」や「別れ」をテーマにした話を多く書いています。自分の経験もあれば見聞きしたり、そして感じる機会が多いからとも言えるのではないでしょうか?
登場する彼女達の言葉を借りると、運命の出逢いは奇跡の選択を繰り返しながら出逢うのではないと言うことになります。
確かに言葉も交わさず、出逢った瞬間「運命の人!」と感じることもないとは言えませんが、チョット少女マンガ風すぎるのかもしれません
相手の性格や趣味から始まり、そして、触れてはいけない部分に触れた時、ただの人が運命の人に変わる・・・この経験を、20%のの根拠にしました。こう考えると、いつだって運命の出逢いがあります。ただ、本当はタイトル優先で書き始めた話でした。

タイトルがタイトルだけに、上手く締め括ることができるものか・・・と、いつもの通り不安の書き始めとなりました。
それが意外なほど、二人の会話が、テンポ良く進み(完全な妄想なんですが)ました。
そして、自分の経験がそうさせたのでしょうか・・・結末もほぼ悩むことなく、書き上げることができました。
いずれ、創作活動はお話するとして、1話(構成的には前半、後半の2話)は、いつも1時間程度で作っています。この話は、特に書きやすくて、30分も掛からなかったと思います。

勇気を出せば出逢える・・・そして、もっともっと勇気を出して、心にまで触れることができれば、それは「運命の出逢い」に変わる。
例え、その心に“陰”があったとしても、逃げずに向き合ってほしい。

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[No.153-2]その先にあるもの

No.153-2

「こうして明るい内に飲みに行けることで感じるのよ」

その先の答えを話した。

「なぁーんだぁ、期待したじゃない!」
「でも、感動したでしょ?」
「おごってくれたら、するかもしれないよ」

夏帆(かほ)は気付いてるだろうか・・・。
私は嘘を付いている。

「さぁ、行くわよ!」
いつもの居酒屋へ向かった。

「ねぇ、さっきの話・・・私じゃ、ないでしょ?」
「・・・気付いてたんだ」
「嘘付く時、目をそらすクセ・・・知ってた?」

話の筋は、嘘じゃない。
ただ、その感覚を言葉で伝えるのは難しい。
暮れかかる空は、夕方とも夜とも言えない時間を演出してくれる。
その空の下、はしゃぐ私が居た。

『どこ行く?何しようか?』

何も決めず、ただブラブラしてるだけだって良かった。

「その先の先に答えがあったんだね」
「分かりにくくてごめん」
「そんなことない、さっき体験したから」

(No.153完)

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