[No.152-2]偶然の再会
No.152-2
「想い出の店?」
「入ったことはないんだけど・・・」
ケータイのデータフォルダにある写メが残っている。
その時のメールは消してしまったが内容は覚えている。
「当時、彼からメールもらって」
彼がその喫茶店で一息付いている時にメールが来た。
『今、一服中。それと大きな松ぼっくりを見つけたぞ』
「松ぼっくり?」
「うん、良くわかんないけど、飾ってあったみたい」
「それで?」
「・・・うん・・・何となく印象に残ってるんだ」
そのメールには、場所も書いてあった。
だから、あの店に間違いない。
「じゃあ、これから行ってみる?」
展開が予想できたものの、やはり返事に困る。
「・・・ありがとう・・・でも・・・行かない」
「そっか、りょーかい!」
そこに辛い想い出があるとか、そんなんじゃない。
偶然に再会した・・・ただ、それだけだ。
「もう、二度とあ・え・な・い・・・かもよ?」
「最初から、そのつもりよ」
「ふーん・・・その言葉、意味深だよね」
今も昔も、迷ってばかりの私だ。
けど、振返らない・・・そう決めている。
(No.152完)
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