[No.152-1]偶然の再会
No.152-1
(・・・あれ?・・・ここさっきも通った・・・よね?)
状況を冷静に分析してみた。
今の自分は間違いなく“迷子”になっている。
「子供じゃあるまいし」
余りの情けなさに、つい口に出てしまった。
ただ、すぐに訂正する気にもなった。
「子供以下かも・・・」
いい歳をした大人が迷子になっている。
今時の子供の方が、もっと頼りになるのかもしれない。
(約束の時間が迫ってるのに!)
「・・・そうだぁ!」
待ち合わせの相手に電話した。
「ごめん・・・迷子になっちゃってぇ・・・」
「う、うん・・・分かった目印ね・・・ちょっと待って・・・」
友人の言葉に従い、大急ぎで辺りを見回す。
(えっ・・・と、目印、目印・・・)
「あれ?」
「・・・ごめん、ごめん・・・こっちのセリフ」
目線の先に、喫茶店がある。
ごく普通の店だけど、名前に覚えがある。
「・・・うん、そう・・・喫茶店・・・分かった、そこを右ね」
その店が気になりつつも、友達の元へ急いだ。
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