[No.151-1]ケース・バイ・ケース
No.151-1
「じゃあ、ケースバイケースって、ことで」
「・・・・」
「どうした?・・・黙って」
世の中には便利な言葉がある。
そのひとつが、ケースバイケースだ。
杓子定規ではなく、その時々で最善を尽くすことだ。
「いつもそうだよね?」
「なんだよ・・・やぶからぼうに」
確かに聞こえは良い。
ただ、いつも言葉の意味を履き違えているように思う。
「で、どうするわけ?」
「だ・か・ら、ケースバイケェ・・・」
「逃げてる!」
彼の言葉を遮った。
私の気迫に、彼も面食らっている。
ケースバイケースなんて結局、結論を先送りしてるだけだ。
実際にそんな場面に直面したら、結論なんて出やしない。
「今・・・私は今、聞きたいの!」
彼は春からキャンパス生活が始まる。
そして、そこから私達の遠距離恋愛も始まる。
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