[No.149-1]それぞれのイベント
No.149-1
(学生服が多い・・・)
取引先に向かう道中、学生達とよくすれ違う。
それは、ある程度、まとまった集団になっている。
「土曜日でもないのに・・・」
それに下校時間にはまだ早すぎる。
(試験中?それとも創立記念日とか?)
「あっ!そうかぁ」
良く見ると皆、筒状の物を手にしている。
「卒業式なんだぁ!」
彼らから名残惜しそうな雰囲気が伝わってくる。
歩むスピードが、それを物語っている。
想い出を踏み締めるかのように進み、時に足を止める。
まるで、次の一歩を躊躇しているようにも見える。
(分かる、分かる!)
これから進学する人、いち早く社会に飛び出す人。
いずれにせよ、若い彼らにとっては踏み出すのに勇気がいる。
(頑張れ!)
何年か前は、自分もその集団の一員だった。
彼らと同じように立ち止まり、次を一歩を踏み出せずにいた。
『このまま時が止まればいいのに』
その時ははそう思った。。
「・・・あっ!いけない・・・急がなきゃ!」
気付けば、取引先との約束の時間が迫っていた。
| 固定リンク | 0
「(006)小説No.126~150」カテゴリの記事
- [No.150-2]謎のオーケストラ(2010.03.23)
- [No.150-1]謎のオーケストラ(2010.03.21)
- [No.149-2]それぞれのイベント(2010.03.19)
- [No.149-1]それぞれのイベント(2010.03.18)
- [No.148-2]初恋(2010.03.16)
コメント