[No.147-2]凸凹コンビ
No.147-2
「俺、内面的に女性っぽい所があるんだ」
「そんな趣味があったんだ・・・」
「や、や・・・そっちじゃなくて!」
冗談で答えたつもりなのに本気で否定している。
「分かってるわよ、何かと丁寧だもんね」
弱々しいとか、いわゆる“草食系男子”ではない。
「逆に私なんか、男っぽいでしょ?」
彼が黙って首を縦に振る。
既に、この段階で男女の立場が逆転したような光景だ。
「俺の中の“女性”が・・・」
「私の中の“男性”を好きになった・・・でしょ?」
彼の言いたいことが良く分かる。
付き合い始めて間もないけど、そんなシーンが何度かあった。
「私の中の男性もそうよ」
相性って、本当はすごい複雑なのかもしれない。
「・・・それに」
彼が続けようとしている話が予測できる。
「代わりに、私の場合を答えていい?」
彼がまた首を縦に振る。
「私の中には妻や母親、それに子供の所もあるわよ」
(No.147完)
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