[No.139-2]今年のバレンタイン
No.139-2
彼にそのことは話していた。
『ごめんね』
『さすがに、そんな気分には、なれないだろ?』
彼の気遣いが嬉しかった。
本当なら変な意味ではなく、喜んでもらえたかもしれない。
純粋に喜ぶ顔が見たかった。
『言わなきゃわかんないのに』
(そうだよね・・・)
あえて言ってしまえば気まずくなる。
言わなければ、もっと気まずくなると思った。
でも、言って良かった。
彼なら分かってくれる・・・そんな自信もあった。
(・・・そうだ!)
実物は渡せないけどこれなら・・・。
急いで、チョコを写メした。
『おっ!美味しそうじゃないか』
すぐに彼から返事が届いた。
『今年はこれで』
『ありがとう!逆に助かったかも』
(・・・助かった?)
『今、ダイエット中なんだよ』
『でも、続かないから、来年は多分、大丈夫だと思うよ』
来年のバレンタイン・・・。
もしかしたら、本命として渡すことになりそうだ。
(No.139完)
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