[No.137-1]熱いコーヒー
No.137-1
「熱っ!」
「そりゃ、熱いわよ」
口の中に広がる熱さとは対照的に、冷めたセリフだった。
フタ付きのカップのそのフタには、小さい穴が開いている。
その穴から、おちょぼ口で飲むような格好になる。
「昭和のオーラを感じるんだけど、気のせい?」
いつまでたっても飲み慣れない。
「こうやって飲むのよ」
園子が手本を見せる。
「子供じゃないんだから・・・」
強く否定できないところが微妙だ。
普通のコーヒーカップなら、口の中に入る前に気付く。
唇が先にコーヒーの熱さを感じるからだ。
そこから慎重に飲めばいい。
「ヤケドしなかった?」
「大丈夫みたい」
「気をつけてよ、ヤケドしやすいんだから」
「・・・あ、うん・・・」
(ヤケドしやすい体質ってあるのかな?)
この時は園子の言葉の意味が分からずにいた。
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