[No.133-2]怪物の涙
No.133-2
冗談が現実になった。
彼氏ができ、ついでに大失恋もした。
「・・・で、泣けた?」
「心配してる?」
明らかに泣いたことに興味を持っている。
「そりゃ・・・してるわよぉお?」
顔が笑っているし、なぜか疑問形で終っている。
よほど、“怪物の涙”が気になるようだ。
「泣かなかったよ」
嘘ではない・・・涙はあふれたけど、こぼれてはいない。
いつものように、空を仰いでいた。
「無理しちゃって!」
友人が背中をポン!と、軽く押してくれた。
「あっ・・・」
その瞬間、堪えていた涙が、瞳からこぼれ落ちた。
背中を押されたせいじゃない。
私の心を押してくれたせいだ。
(No.133完)
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