[No.133-1]怪物の涙
No.133-1
いつの頃からか、素直に泣けなくなった。
様々な経験が私を強くしたとも言える。
背中を向け、空を仰ぐ。
涙がこぼれ落ちそうになるたびにそうした。
そうして、それを必死にこらえた。
「今じゃ、無理しても泣けないよ」
なんとなく笑い話にも聞こえてくるから不思議だ。
「男性が知ったら・・・」
「かわいくない!と、言われるね」
それだけじゃない。
「きっと、怪物扱いされるわ」
泣けない女・・・泣かない女・・・。
ドラマか小説にもなりそうなフレーズだ。
別の意味でワクワクされるかもしれない。
どんな女、なんだと・・・。
「大失恋でもしたら?」
「そうね、その前に作るのが先だけど」
だから、泣くのは随分先になる・・・はずだった。
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