[No.128-2]不透明な出逢い
No.128-2
「・・・で、そのキズなんだ?」
数日後、同僚の茜(あかね)に朝の出来事を話した。
あの衝撃は、自転車同士の衝突だった。
「通い慣れた道でしょ?」
「急いでたのよ」
いつもなら、もう少し慎重だったのかもしれない。
急いでいたことに加え、気分が乗っていたこともある。
「でも、ほら・・・あるんでしょ、あれ?」
「反射鏡のこと?」
「なら、どうして・・・見落とし?」
見落としではない。
逆にいつも以上に、しっかり見ていた。
けど、見えなかった。
「見えなかった?」
「そう、曇ってたの」
反射鏡はぼんやりと周辺を映していた。
それでも、いけると思った。
「災難だったわね」
「それが・・・そうでもないの」
「・・・そうでもない?」
あれ以来、あの場所では一時停止するようになった。
注意深くなったこともある。
それに、お互い挨拶を交わすためでもある。
(No.128完)
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