[No.127-2]振り向けば・・・
No.127-2
「なんか、浮かない顔ね」
どうでもいいことに加え、あることを思い出したからだ。
「書き・・・け・・・紙・・・」
「・・・なに?聞こえないよ」
力無く話したためか、声が小さくなってしまった。
中途半端は他にもあった。
書きかけの手紙・・・今も引き出しの中で眠っている。
「好きな人への手紙?」
「・・・そんなとこね」
何度も引き出しは開けた。
でも、書けなかった。
「前進あるのみよ!」
(大人になったんじゃなかったっけ?)
「そうね、新年も迎えたことだし」
理由は何でも良かった。
「新年そうそう、“散る”なんてどう?」
友美らしい応援に、曇り空が晴れて行くのが分かる。
振り向くことで、何かが始まった気がする。
「“終わる”かもしれないよ?」
「友美ぃぃ!」
「じょ、冗談よ!振り向くだけじゃなくて・・・」
「分かってる、ありがとう」
振り向いてばかりじゃ、その瞬間のチャンスを逃す。
時には振り向かないことを恐れないでいよう。
(No.127完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(006)小説No.126~150」カテゴリの記事
- [No.150-2]謎のオーケストラ(2010.03.23)
- [No.150-1]謎のオーケストラ(2010.03.21)
- [No.149-2]それぞれのイベント(2010.03.19)
- [No.149-1]それぞれのイベント(2010.03.18)
- [No.148-2]初恋(2010.03.16)
コメント