[No.135-2]動く夜景
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No.135-1
街全体が巨大なイルミネーションをまとっている。
ここから見る夜景が一番好きだ。
「嫌いな人、居ないんじゃない?」
(確かにそうよね)
都会であればあるほど綺麗に映る。
「あれ見て!」
尚美が指差した。
遠くからでも観覧車と分かる光の配置だ。
輪を描くように、光がゆっくり動いている。
「ねぇ・・・わたしで良かったの?」
「なにが?」
「夜景は普通、男と見るものでしょ!」
尚美の言う通りかもしれない。
「『夜景よりお前の方が綺麗だよ』なんてね!」
「そんな奴なら、尚美の方がまだましよ」
そうこう話しているうちにも、夜景は様々に表情を変える。
1年前、私の隣には彼が居た。
その彼とこうして夜景を見ていた。
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No.134-2
「原動力?ガソリンスタンドに寄ってく?」
「じゃ、満タンで!」
友人の軽いノリが、逆にホッとさせてくれる。
「そのうち、目標もできるよ」
「そう・・・よね!」
不思議だ。
話していると、何か動き始めたような気がする。
友人も私を動かす原動力なのかもしれない。
「まぁ、悩まない、悩まない!」
「そうするよ・・・で、お腹すかない?」
「すいた!燃料補給しに行こうよ」
生き方は、今なら3つあるかもしれない。
自分と他人のために、バランス良く生きるタイプの人。
(流行の言葉を使えば・・・)
「ねぇ・・・わたし、ハイブリッ・・・・」
「えっ!なに?今、忙しいのよ」
バイキング方式のランチで忙しいようだ。
見れば、和食、洋食・・・中華まで山盛りだ。
「欲張りすぎよ」
「何言ってるのよ!燃料補給に来たんでしょ?」
彼女も、ある意味ハイブリッドなのかもしれない。
(No.134完)
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No.134-1
生き方は、2つのタイプに分かれる。
自分のために、生きるタイプの人。
もうひとつは、他人のために生きるタイプの人。
「鳴海(なるみ)はどうなのさ?」
「わたし?」
あからさまに他人を犠牲にしていない。
けど、そうも言えない部分も多い。
「多分、他人のためだと思う」
「他人と言うより、彼のためでしょ?」
「えっ!わかる?」
幸せの絶頂が顔に書いてある。
今だけかもしれないけど、そう思える友人が羨ましくもある。
そんな人に出逢えば自分も変わるのだろうか。
春から有名大学に進学する。
中学、高校と受験戦争を勝ち抜いてきた。
勝つことは、誰かを蹴落したことになる。
「わたしは、結果的に自分のためだと思う」
「なんでこんなこと聞くの?」
大学進学と言うひとつの目標が終った。
その途端、自分のために生きる目標さえ、見失った。
「わたしを動かす原動力って、何かなって・・・」
部屋の本棚に視線を移す。
整頓された参考書達は、もう私を動かしてはくれない。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.28 女の子へ聞け
実話度:★★★★★(100%)
日常が小説になること、ドラマよりもドラマティックであることを実感した作品です。
実話度100%ですが、作者が「あき」なのか「僕」なのかは、伏せておきます。
「それ、私も同じかも」
それって何・・・?が、読み手の最初の疑問だと思います。軽く触れてはいますが、こういうことです。
喧嘩まではしていないけど、紗江の理不尽な行動に振り回され、少し口論になったことがありました。
数時間経過してから、自分から謝ろうとしても、音信不通になり、最後のメールにつながりました。
そして、予期せぬ展開に焦る「僕」に対して「あき」の冒頭のセリフが続きます。
「ちょっとしたことでも、別れはありますよ」って、あきは言いたかったのです。あきも同じ経験をしたことがあるからです。
ところが・・・。
「あのね、女の子はそんな時があるんよ」
「また、メールでも入るんとちがう?」
このふたつのセリフは、別れが一時的なもの(その期間は不明だとしても)であることを意味しています。
あきとしても自分がそうだからこそ、こんなことが言えたのでしょう。そして、その通りに紗江からメールが届きました。
それに紗江からメールが来た時、戸惑いながらも、嬉しかったのは間違いありません。あきはそれさえも分かっていたのです。
最後になりますが、この話をヒントにした小説があります。
紗江からのメールは“受信フォルダ8”に入るようになっていました。そうなんです・・・「No.25 受信フォルダ8」はこの話があったからこそ生まれたんです。
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No.133-2
冗談が現実になった。
彼氏ができ、ついでに大失恋もした。
「・・・で、泣けた?」
「心配してる?」
明らかに泣いたことに興味を持っている。
「そりゃ・・・してるわよぉお?」
顔が笑っているし、なぜか疑問形で終っている。
よほど、“怪物の涙”が気になるようだ。
「泣かなかったよ」
嘘ではない・・・涙はあふれたけど、こぼれてはいない。
いつものように、空を仰いでいた。
「無理しちゃって!」
友人が背中をポン!と、軽く押してくれた。
「あっ・・・」
その瞬間、堪えていた涙が、瞳からこぼれ落ちた。
背中を押されたせいじゃない。
私の心を押してくれたせいだ。
(No.133完)
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No.133-1
いつの頃からか、素直に泣けなくなった。
様々な経験が私を強くしたとも言える。
背中を向け、空を仰ぐ。
涙がこぼれ落ちそうになるたびにそうした。
そうして、それを必死にこらえた。
「今じゃ、無理しても泣けないよ」
なんとなく笑い話にも聞こえてくるから不思議だ。
「男性が知ったら・・・」
「かわいくない!と、言われるね」
それだけじゃない。
「きっと、怪物扱いされるわ」
泣けない女・・・泣かない女・・・。
ドラマか小説にもなりそうなフレーズだ。
別の意味でワクワクされるかもしれない。
どんな女、なんだと・・・。
「大失恋でもしたら?」
「そうね、その前に作るのが先だけど」
だから、泣くのは随分先になる・・・はずだった。
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No.132-2
ゴトッ・・・。
意外に重い音がした。
(何だろう・・・へんな気持ち・・・)
勢い勇んで、歯ブラシを捨てたつもりだった。
それなのに・・・自分でもよく分からない。
その時だった。
その瞬間を待っていたかのように、ケータイの着信音が鳴った。
「どう・・・今の気分は?」
「なんのこと?」
意味が分からない。
純那は何を言いたいのか・・・。
「同じことの繰り返しでもいいんじゃない?」
「繰り返し?」
「そう結論を急がなくても、いいってこと」
(あっ・・・)
ようやく意味が分かり始めた。
「おせっかいね!」
「今にも彼と別れるんじゃないかと思ったのよ」
「・・・まぁ・・・ありがとう・・・ね」
歯ブラシを元の場所に戻した。
(そうね・・・)
案外、悪くない。
(No.132完)
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No.132-1
「また、やっちゃった・・・」
歯ブラシの先が開いてしまい、取替えるつもりでいた。
昨日、そう思いながらも、それを忘れてしまった。
また使わざるを得ない。
「それぇー、私も良くあるぅ!」
純那(じゅんな)が元気良く応える。
「純那と同じ?」
だらしなさにかけては、彼女の右に出るものは居ない。
その彼女と同じとは・・・。
「まぁまぁ、気にしない」
「気にするわよ!」
私までもだらしなく思える。
歯ブラシの取替えとは言え、思い立ったら即実行!
「帰ったら、真っ先に洗面台に行くよ」
「おぉー!気合入ってるぅ!」
そうでもしないと、延々と同じことを繰り返してしまう。
家に着くなり私は一目散に洗面台へ直行した。
「ハァハァ・・・ハァ・・・取替え完了!」
これで、くやしい思いをしなくて済む。
「じゃあね!」
歯ブラシを近くのゴミ箱へ投げ込んだ。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.08 銀河鉄道の夜
実話度:★★☆☆☆(40%)
・・・で、「銀河鉄道の夜」って、どんなプレゼント?ですよね。やっぱり
この話はタイトル先行型で、タイトルが決まってから創作した典型的な例です。
その上でどんな話にしようかと考えていた所、知り合いの誕生日が近づいていたこともあり、これを軸にした話にしようと思った訳です。
ところで「銀河鉄道の夜」と言うタイトルを決めた理由なんですが、実は宮沢賢治さんの・・・ではありません。
知り合いから「KAGAYA」氏のそれが好きだと言うことを聞かされていたのがきっかけです。
銀河鉄道・・・となると、どうしてもファンタジー系の話に進みがちなんですが、冬のホタルは、日常のひとコマがテーマなので、安易に銀河に旅立つ訳には行きません
そこで、何か意味ありげなプレゼントのネーミングとして使うことを考えました。
「銀河鉄道の夜」をどんなプレゼントにしようか・・・色々想いを巡らせました。「あれにしようか、これにしようか・・・」散々考えましたが結局、答えは見つかりませんでした。
でも・・・だからこそ、こんな話ができあがったのです。
奈々子としては、銀河鉄道の夜でも朝でも、何でも良かったのです。そして、奈々子の望んだ通り、送り主は想い出をたどる旅に出掛ける結果となりました。
「銀河鉄道の夜」は二人の出逢いから今までを想い出してくれるだけでいい・・・そんなプレゼントだったのです
奇しくも今、この小説を振り返った時、「出逢い」と言う駅から銀河鉄道に乗り、今もどこかを旅している・・・そんな話に思えてきました。
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No.131-2
さて・・・ここからが問題だ。
そろそろ相手も核心を突いてくる。
髪型は・・・変わったような気がする。
化粧は・・・これも変わったような気がする。
どちらかの影響で、片方の印象が変わった可能性もある。
ただ、どちらも顔に関係する。
無難な言葉で、まとめておくことにしよう。
「明るい感じだよね」
「そうだね!明るくなったよ」
(ヨシっ!)
それが何だか分かっていないが、危機は脱したようだ。
「今まで損してた気分」
「そうかもね」
適当に話を合わせておけば、そのうち無事終了する。
ただ、それが何か気になりもするが・・・。
「ところでさぁ・・・」
(ようやく話題が変わりそうだ・・・)
「何が変わったの?教えて」
「えっ!いやぁ・・・その・・・」
油断していた所へ、いきなり直球が入ってきた。
「もぉ・・・分かってなかったくせに」
「ご、ごめん」
「その申し訳なさそうな顔も良く見えるようになったよ」
彼女の瞳の奥もチェックする必要があったようだ。
(No.131完)
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No.131-1
最も慎重に応えないといけない、女性からの一言。
今、まさにその瞬間だ。
「ねぇ・・・何か気付かない?」
(うぅ、急になんだよ・・・)
「あ、あぁ、そうだな・・・」
余り長く考えていると、まずい。
気付いていない、と言っているのと同じだ。
ここはひとつ・・・。
「なかなか・・・じゃない」
まずはどうにでもとれる言葉でジャブを打つ。
その間に、上から下までザッとチェックした。
(服・・・アクセサリー・・・靴・・・)
ついでにバッグも確認だ。
我ながら世界最高タイムで目を走らせる。
オリンピックなら、間違いなく“金”だ。
(どれも見覚えがあるけどなぁ)
そうなると、王道は髪型か化粧だろう。
「似合ってる?」
「いいと思うよ」
慎重に話を合わせながら、それに気付くとしよう・・・。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.49 上手な恋の忘れ方
実話度:★★☆☆☆(40%)
検索フレーズランキングに常に入っている「忘れ方」に類する言葉・・・皆さん、同じように苦労されてるかと
この話のきっかけは、文字通り、忘れたかったからです。
ただ、話のように「失恋」した恋を忘れるのではありませんでした。
恋や愛には様々な形があって、私の場合、片思いの状態でそれを忘れる必要がありました。じゃぁ、どうしたら忘れられるのか考えていたら、この話に繋がりました。
本当は話以上に深刻で「このままどうなっちゃうんだろう」と思えるほど、メンタル的に不安定な時期もありました。
現実の問題は置いといて、話しをどう結論付けるか・・・。これは大いに悩みました。
小説にもあるように、永遠のテーマであり、もし特効薬があれば、歴史は変わっています。
そうなると、私は考え方を180度変える作戦を良く行います。
忘れたいなら、忘れない・・・。これをベースにして、なんとかそれらしく結論を出すことができました。
当初は「忘れようとすると・・・だから忘れられない・・・」を文末に持ってくる予定でしたが、ブログのサブタイトルでもある「悲しい終わりはない」になるように、前向きな話しを加えてエンディングとしました。
「それで忘れられたの?」
どこからもなく、こんな声が聞こえてきそうですが、現実は小説ほど、うまく行かないようですよ。
でもね、ちゃんと失恋することができました
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No.130-2
「わからへん!わからへんから・・・」
何かを狙っている・・・そんな予感が走る。
「あくせくしたって・・・」
「はじまりませんぜ!」
「あっー!それ、うちのセリフやんかぁ!」
菜緒が俺の口をふさごうとする。
彼女の小さな手が温かい。
その温もりは、きっと彼らにも届いているはずだ。
「大事にしろよ」
「うん、仲間やもん!」
「仲間?」
「とぼけた仲間や!」
“とぼけた”ついでに聞いてみよう。
「その仲間に菜緒も入ってるの?」
「入ってるよ」
「あはは・・・そうなんだ」
自分のことを“とぼけた”と認めているらしい。
「なに笑ってんねん!」
「あんたもやで」
「なーんだ・・・えっ?」
どうやら俺もとぼけた仲間の一員らしい。
(No.130完)
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No.130-1 [No.07-1]せいじゅうろう
「そう言えば、聞いたことないな」
数々の笑いと涙を提供してくれた、せいじゅろう達。
ある時を境に、彼らが登場した。
「なぁ、聞いていい?」
「あくせくしたってはじまりませんぜ」
「はじまりませんぜ!」
「・・・あっ、悪い」
菜緒がいつもの仲間で遊んでいる最中だった。
今のセリフは確か・・・。
「なんやろ?」
「あぁ・・・ちょっといいかな?」
最初にリラックマを見たのは・・・・。
確か、ケータイのストラップにぶら下がっていた時だった。
「好きになったきっかけは?」
「うーん・・・そう言えばなんでやろな」
悩んでいる。
それも半端なく・・・。
それにしても、他にもキャラクターはたくさん居る。
その中で、リラッ・・・いや、せいじゅろうを選んだ。
理由がなくはない。
「似てるからやろか・・・」
ただ、それは俺が言い出したことだ。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.05 堕天使
実話度:★★★★☆(80%)
ブログ小説を書くきっかけとなった作品です。
実話度は高いのですが、逆にタイトルとそれに関連する部分が創作になります。
自分が・・・ではなく、あくまでも第三者的に書けば、彼女は若くして、様々な辛い経験をしたようです。ここには書けないことも含めて・・・。
ところで、当ブログのシリーズ物は「せいじゅうろう」ひとつしかありません。本当はそうではなくて、名前をわざと変えた上で、牽引役(主人公)が同じ作品が数多くあります。
「愛」はいわゆる源氏名なんですが、彼女の話は、実は一番多く書いているんですよ。それがどの話かは、読んで感じて頂ければ
・・・とは言うものの、ひとつだけネタバレをすれば「せいじゅうろう」シリーズがまさにそうなんですよね。
冒頭に書いた「ブログ小説を書くきっかけ」ですが、書くことで自分と向き合うことができたり・・・すみません、これは嘘ですね。正直に書けば自分から何かを吐き出したかったからです・・・と彼女は言ってましたね
どこの誰だが分からないけど、書くことで伝えたい、書くことで応援したい、そんな気持が強くなりました。今でこそ、洒落た話で結末を向かえることが多いですが、この話は冬のホタルの原点なんですよ。
この記事を書いているのが「愛」なのか、それとも「彼」なのかそれとも単なる第三者なのか、今の時点ではまだ秘密です。
地に落ちた堕天使の行方が気になりますか?
もし私が「愛」なら、今もこうして記事を書いていることになりますけどね
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No.129-2
粋な返事を返したい。
そう思えば思うほど悩んでしまう。
さて、時間に何を掛けてみようか・・・。
思い付くまま、あれこれ掛けてみる。
(・・・どれもイマイチだな)
彼女のそれを超えるものが、なかなか出てこない。
時間・・・時間・・・時間・・・。
「そうだ!」
いっそのこと、時間に時間を掛けてみようか。
「時間×時間=・・・?」
何かしらの謎解きにも似た、かけ算になった。
いずれにせよ、思い付きじゃ伝わらない。
彼女は僕の一言に応えてくれたはずだ。
(時間が経つのが早い・・・)
だからこそ、有意義に時間を使いたい。
時間は増えやしない・・・減りもしない・・・。
「・・・そうだ!」
掛けるものが決まった、そう思う間もなく返事を打つ。
『時間×自分=時間』
数学的に自分は”1”になる。
それに時間は増えもしないし減りもしない。
だから、有意義な時間の割合を増やすしかない。
新年は禅問答のようなメールで始まった。
(No.129完)
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No.129-1
年末の挨拶を兼ねた近況報告が、年を越す結果となった。
『時間に何を掛けますか?』
予期せぬ問いかけだった。
ただ、それに繋がるものは自分が先に書いていた。
『時間が経つのが早い』
年齢を重ねる度に、一年が短く感じる。
それだけではない。
短く感じるからこそ、時間について考えるようになった。
そんな想いが、この一言に込められていた。
「時間に何を掛けるか・・・か」
彼女のメールには続きがあった。
時間×技術=進歩
時間×実践=経験
時間×手持ち無沙汰=何となく過ぎた時間
彼女の想いにも似た、かけ算が書かれていた。
「なるほど・・・」
相変わらず説得力がある。
つい、フンフンと、うなずいてしまう。
そうなると・・・。
『時間に何を掛けますか?』
答えないわけにはいかない。
でも、そう思いながらも、すぐには返事が書けなかった。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.02 非常階段のシンデレラ
実話度:☆☆☆☆☆(0%)
完全に創作なんですが、タイトルに思い入れがあります。ブログを始めるずぅ~っと前から・・・そうですね、10年ぐらい
前から、このタイトルが頭の中に入っていました。
そもそも、なぜ「非常階段」「シンデレラ」なのか、自分でも良く分かっていません
「小説のタイトルとして使うなら意味ありげなものがいいな」と漠然とした考えによるものでした。そうなると、タイトル以前に、どうしてそんなことを考えたのか?とそっちの方が更に謎になります。
あれから10年・・・正確には、頭の中にはずっと存在してましたから、10年前とは言えませんが、まさか本当に小説になるとは思いませんでした。
シンデレラが非常階段に・・・居ませんよね?
非日常、非現実感があって、意味深。それの答えとなる話をどのように展開するか、大いに悩みました。
そこで、漫画「きまぐれオレンジ☆ロード」の「鮎川まどか」をイメージすることにしました。孤高の不良、ミステリアスで美少女な所が、ピッタリじゃないかと・・・。
もしかしたら学校に居るんじゃないか・・・そう言えば居たよね・・・なんて、思って頂ければ
ブログを始めて第2作目なので、そのダメさ加減が恥ずかしいのですが、雰囲気が伝われば嬉しいです。
シンデレラは何を考え、彼女を見ていた僕は何を感じていたのか。
教室の窓から外を見てください。あなたの学校にシンデレラが居るかもしれません。えっ!あなたはシンデレラですか?
それなら、あなたを見てる「僕」も居ることを忘れないでくださいね。
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No.128-2
「・・・で、そのキズなんだ?」
数日後、同僚の茜(あかね)に朝の出来事を話した。
あの衝撃は、自転車同士の衝突だった。
「通い慣れた道でしょ?」
「急いでたのよ」
いつもなら、もう少し慎重だったのかもしれない。
急いでいたことに加え、気分が乗っていたこともある。
「でも、ほら・・・あるんでしょ、あれ?」
「反射鏡のこと?」
「なら、どうして・・・見落とし?」
見落としではない。
逆にいつも以上に、しっかり見ていた。
けど、見えなかった。
「見えなかった?」
「そう、曇ってたの」
反射鏡はぼんやりと周辺を映していた。
それでも、いけると思った。
「災難だったわね」
「それが・・・そうでもないの」
「・・・そうでもない?」
あれ以来、あの場所では一時停止するようになった。
注意深くなったこともある。
それに、お互い挨拶を交わすためでもある。
(No.128完)
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No.128-1
「急がなきゃ!」
最近の仕事疲れのせいか、朝起きるのが少し遅れた。
幸い自転車通勤だ。
飛ばせばなんとかなる。
「さむ~い!」
今朝は一段と冷え込む。
昨日の水たまりは見事に氷に覆われている。
「ちょっと踏んづけて・・・」
「・・・る時間は無いか」
自転車にまたがり、いつもの道を急ぐ。
(いい感じ、いい感じ!)
信号機がタイミングよく青に変わる。
これなら、随分と遅れを取り戻せそうだ。
(よし、このまま・・・)
スピードを落とすことなく、路地を疾走した。
(あの角を曲がればゴぉールぅ!)
いつしか、ひとりでレースをしている気分になっていた。
ただ、最後の曲がり角は見通しが悪い。
いつも、そこに設置されている反射鏡が頼りだ。
「あれ?・・・見えない・・・ん!」
何かに気付いたその瞬間、強い衝撃に襲われた。
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小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。
小説名:No.01 グリーティングカード
実話度:★☆☆☆☆(20%)
冬のホタルの記念すべき第1作目となりましたグリーティグカード(以下カード)は予め日時を設定してから送ることができます。当時、送る相手が居たことでこの話が生まれました。
当初、小説に対するポリシーとしては「ショートショート」しかなく、ジャンルは特に何も考えていませんでした。
そのため、この話と「No.03過去へのゴミ箱」のみ、ややファンタジックな要素が濃い作品になっています。
話を戻しますが、日時設定を利用することでちょっとしたイベントを発生させることができます。送りたい相手が目の前に居る時にカードを届ける・・・最初はこんな感じで考えていました。
ただ、「泣いて笑って」の要素が欲しくて、今は亡き恋人が日時設定機能を使って生前にカードを送った・・・と言う話にまとめています。
これに、スパイスとして男性が涙を流し精一杯のジョークを言うことまで予想し、メッセージに組み込んだ・・・と言うことで締め括りました。
天使となった彼女が、天国から送ったものではなく、現実の世界から機能を駆使して送ったことで、ギリギリセーフで、冬のホタルの世界観に収まっています
当ブログでは、ケータイメールにまつわるシチュエーションが数多くあります。メールって、とてもドラマがあると思っていますが、何らかのイベントだけでもいいので大切な人へカードを送ってみてくださいネ。
それに、もしかしたら・・・ですよ、あなたへ向けて送られるカードが今や遅しと日時設定され、スタンバイしているかもしれませんヨ。
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No.127-2
「なんか、浮かない顔ね」
どうでもいいことに加え、あることを思い出したからだ。
「書き・・・け・・・紙・・・」
「・・・なに?聞こえないよ」
力無く話したためか、声が小さくなってしまった。
中途半端は他にもあった。
書きかけの手紙・・・今も引き出しの中で眠っている。
「好きな人への手紙?」
「・・・そんなとこね」
何度も引き出しは開けた。
でも、書けなかった。
「前進あるのみよ!」
(大人になったんじゃなかったっけ?)
「そうね、新年も迎えたことだし」
理由は何でも良かった。
「新年そうそう、“散る”なんてどう?」
友美らしい応援に、曇り空が晴れて行くのが分かる。
振り向くことで、何かが始まった気がする。
「“終わる”かもしれないよ?」
「友美ぃぃ!」
「じょ、冗談よ!振り向くだけじゃなくて・・・」
「分かってる、ありがとう」
振り向いてばかりじゃ、その瞬間のチャンスを逃す。
時には振り向かないことを恐れないでいよう。
(No.127完)
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No.127-1
「昨年を振返ってどうだった?」
新年明けらしい会話から始まった。
「へぇー、随分と奥ゆかしいじゃん」
前進あるのみ!・・・友美はそんな性格だ。
それゆえに笑えない失敗談もたくさんある。
「まぁ、私も大人になろうかなってネ」
(気付くのが遅ーい!)
「そ・れ・よ・り、去年はどうだったの?」
「どう・・・と言われても・・・」
一年の計は元旦にあり・・・は、やや過ぎてしまった。
それでも彼女の言う通り、振返る必要もある。
三日坊主のダイエット。
数ページしか読んでいない話題の小説。
腕が上がらなかった料理教室。
そして・・・。
「な、なによぉ?」
気付けば友美がニヤニヤ私を見つめている。
「長~い、回想だったわね」
「そ、そうかなぁ」
振返って見ると、なぜか中途半端なことばかり思い出す。
輝かしい新年が、急に曇り空に変わった気分だ。
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