[No.126-1]ターミナル
No.126-1
空港でひとりの女性を見かけた。
彼女に目が行ったのには理由がある。
メールが来る度に、彼女の表情が曇って行くのが分かる。
相手は彼氏だ。
それから、彼女は電話を掛け始めた。
相手はもちろんメールの主だ。
(電話していい?)
その返事を確認してから、電話したようだった。
「なんでよ!」
ざわついていたロビーが一瞬、静寂に包まれた。
さすがの彼女も、それを察知したようだ。
すぐに小声になり、その場所から立ち去った。
彼女はロビーの隅に向かおうとしているらしい。
「どうして・・・来れない・・・約束・・・」
ロビーのざわめきが、彼女の声をかき消す。
途切れ途切れにしか、会話が耳に入らなかった。
ロビーの隅では、何らかのやり取りが白熱しているのが分かる。
彼女のボディランゲージが徐々に大きくなっているからだ。
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「(006)小説No.126~150」カテゴリの記事
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