[No.121-2]あなたを待つもの
No.121-2
お互い独身だけど、恋人同士でもなんでもない。
仲の良い異性の同僚・・・と、僕は思っていた。
「えっ!違うの?」
周りに誰も居ないこともあり、つい声に出てしまった。
メールの内容は、明らかに誤解を招く。
仮に僕が既婚者なら、ただじゃ済まないだろう。
(ど、どうしよう・・・)
彼女の好意に、気付いていなかったのかもしれない。
同郷でもあり、確かに仲は良い。
『ありがとう・・・気付いてなかった』
『鈍感ね、やっぱり』
返す返事・・・返すメールに困る。
思いがけない展開に、驚きを隠せない。
(さっき、言ってくれれば・・・)
でも、社内だし、どこで誰が聞いてるかもしれない。
それを気遣ってのことだろう。
『今日はもう帰るよ』
手短なメールを返した。
『そうね、そうしたら?』
ちょっと、他人行儀な返事だった。
照れくさいのかもしれない。
『じゃ早くしてね。あなたの自転車寒そうよ』
(No.121完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(005)小説No.101~125」カテゴリの記事
- [No.125-2]気の早いタンポポ(2009.12.25)
- [No.125-1]気の早いタンポポ(2009.12.24)
- [No.124-2]歌えないカナリア(2009.12.23)
- [No.124-1]歌えないカナリア(2009.12.22)
- [No.123-2]チャーミング(2009.12.20)
コメント