[No.117-2]予言の書
No.117-2
「へぇー、おもしろい話ね」
佳代子に“予言の書”の話をした。
「全部同じなら、ひょっとして、ひょっとすると・・・」
「予言が当たってる・・・ってこと?」
私の気掛かりをよそに、なんとも楽しそうだ。
「冗談よ、子供の頃の想いが、そうさせたんじゃない?」
潜在意識がそうさせたのかもしれない。
偶然と言うか、必然と言うか・・・。
「それにしても浮かない顔ね?」
「ちょっと気になることがあって・・・」
「作文になんか書いて有ったの?」
佳代子の目が輝いている。
明らかに“知りたいモード”に入っている。
「逆よ・・・」
「逆?」
「無いの・・・」
「無い?」
何とも短い会話が続いた。
「一体、何が無いって言うのよ?」
「書いてなかったの」
「お嫁さんになりたい・・・って」
でも、1年後、予言の書は単なる作文だと分かった。
(No.117完)
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