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[No.117-1]予言の書

No.117-1

『おおきくなったら、パンやさんとはなやさんと・・・』

子供の頃の作文に、そう書いてあった。

『しょうらいなりたいもの』
タイトルにそうも書いてある。

「2年4組・・・か」

先日、実家から荷物が届いた。
その中に、子供の頃の思い出が入っていた。
改めて、その中身を手に取っていた。

「パン屋、花屋・・・あれ?」
「・・・レストラン?」
「あぁ・・・ウェイトレスのことね」

自分が書いたとは言え、随分昔のことだ。
把握するのに一瞬、間があった。

「経営者でもなりたかったのかと思ったわ」

近所のファミレスの制服が可愛かったことを思い出した。
ただ、それだけの理由だった。
子供なんて、所詮そんなものだ。
けど、それだけの理由でも、夢を叶えている人もいる。

(それにしても・・・)

作文に書かれている3つの仕事を全て経験している。
順番は違えどもレストランから始まり、今は花屋だ。
夢を叶えたと言うか、転々としていると言うか・・・。

もし、これが“予言の書”なら、大したものだろう。

ただ、単なる偶然だとしても気掛かりなことがひとつある。

(No.117-2へ続く)

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