[No.115-2]季節の足音
No.115-2
「ごめん、ごめん」
謝ってはいるものの、どこか楽しそうだ。
「私をからかって、そんなに楽しい?」
強めの口調で、もう一度彼を睨んだ。
「そんなんじゃなくて、これさ!」
そう言うと、足をバタバタさせ始めた。
「ぷっ!それ流行の踊りなの?」
さっきのお返しだ。
「・・・じゃなくて、音だよ!お・と」
今度は足元を指差した。
カサカサ・・・バザバサ・・・枯れた音がする。
当たり前だ。
落ち葉を踏んでいるからだ。
「それがなによ?」
意図が分からず、すこしイラついた。
「僕は音で季節を知るんだ、この場所で」
それは落ち葉であったり、セミの鳴き声であったりする・・・。
そう言いたげな表情だった。
(No.115完)
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