[No.115-1]季節の足音
No.115-1
前日は風が強かった・・・らしい。
落ち葉が至る所に散らばっている。
(雨も降ってたんだ)
紅葉の名残がある落ち葉が、水たまりを泳いでいる。
辺りを見回すと、すっきりとした木々が寒そうだ。
それを見ると、こちらまで、そう感じてしまう。
「お待たせ!」
「・・・ぷっ!それ流行のオシャレなの?」
「えっ!なに・・・?」
髪に落ち葉が数枚絡みついていた。
その一枚は、頭の真上だった。
それを彼が笑いながら取ってくれた。
「タヌキって、そうやって化けなかったっけ?」
今度は自分の頭に乗せて、ふざける。
「もぉー!」
それにしても・・・もう、こんな季節だったんだ。
落ち葉が季節を教えてくれた。
季節は毎日、少しずつ変化する。
だから、気付きにくい。
だから・・・それぞれの季節で、それを知らせる便りが届く。
それは春一番であったり、落ち葉であったりする。
「そろそろ、タヌキは止めにしない?」
さっきから、ひとりでふざけている彼をにらんだ。
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