[No.112-2]願い事~鈴虫寺から
No.112-2
「叶ったわよ、マジで!」
(何をお願いしたのよ!)
内容が真っ先に気になった。
「で、何、お願いしてたのよ?」
「じゃーん!これよ、このバッグ!」
有名なブランドのバッグだ。
「買ってもらった・・・と言うか、これが願い事?」
「そうよ、なにか?」
お地蔵様は慈悲深い。
こんなバカ相手に・・・。
「ところで、あんたはどうなのよ?」
「わたし?・・・まだだけど」
結局、“まだ”はいつまでたっても“まだ”のままだった。
けど、そうなることは分かっていた。
「ねぇ、ねぇ、知ってる?あんたの隣の部屋・・・」
隣に住む子が、最近彼氏とヨリを戻した。
学生寮だ・・・うわさはすぐ伝わる。
「良かったよね・・・ん?まさか・・・」
私の願いは、奇跡が起きようが叶わない。
「住所と言うか部屋番号、間違っちゃったみたいね・・・私」
わざとなのか、天然なのか私にも分からない。
(No.112完)
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